公益財団法人福岡県薬剤師会

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消毒薬の中毒一覧表

消毒薬 毒性 中毒症状 注意事項

クレゾール石けん液
 
(クレゾールを
 42~52%含有)

ヒト経口推定致死量
 180~250mL

消化器系:口腔・咽喉の灼熱感と疼痛,悪心・嘔吐,咽頭・喉頭浮腫,口腔・食道・胃粘膜腐食
中枢神経系:興奮,意識障害,痙攣
循環器系:低血圧,不整脈,ショック
呼吸器系:呼吸促拍,肺水腫
泌尿器系:乏尿,無尿,腎不全
その他:溶血,メトヘモグロビン血症,低体温
皮膚に接触では灼熱感,紅斑,知覚麻痺,浮腫,白色変性,びらん,局所組織の壊死
眼に接触では腐食,眼球損傷
吸入では全身中毒,粘膜刺激

経口,経皮および吸入により吸収・排泄が速いので,中毒発生後24時間以内の治療が救命に影響する。
水などを投与して希釈すると吸収を助長する。
腐食作用があり,また痙攣誘発や昏睡に陥りやすいので催吐は禁忌。
胃洗浄は穿孔に注意して行う。アルカリ性で腐食作用はあるが(強酸・強アリカリより弱い),服用早期であれば胃洗浄を行う。
接触時は,付着部位が広がると吸収が速くなるので,脱脂綿などでできるだけ吸い取り,大量の水と石けんで洗い流す。皮膚の洗浄や清拭に50%エタノール,オリーブ油,グリセリン,ポリエチレングリコールなどを用いることがある。
吸入して鼻や喉に刺激がある時はうがい。

ヨードチンキ
 (希ヨードチンキはヨードチンキを70%エタ
ノールで2倍希釈)

ヒト経口推定致死量
 30~250mL

消化器系:悪心・嘔吐を伴う胃痛,口腔・咽頭・食道の灼熱感,口唇等の粘膜の褐色着色,腹痛,下痢
中枢神経系:頭痛,めまい,精神錯乱
循環器系:低血圧,頻脈,ショック
呼吸器系:喉頭浮腫による呼吸困難,誤嚥性肺炎
泌尿器系:出血性腎炎,乏尿,無尿,腎不全
その他:ヨウ素による一時的な唾液腺やリンパ節腫脹

服用直後には牛乳または3%バレイショデンプン液を飲ませる。
解毒剤の1%チオ硫酸ナトリウム液100mLを内服。
胃洗浄は1~10%バレイショデンプン液または1%チオ硫酸ナトリウム液を用いる(牛乳や微温湯でも可)。ただし腐食が進行している時には穿孔を起すので胃洗浄は禁忌。
喉頭浮腫の恐れがあれば気管切開して気道確保。
胃内にデンプンがあれば吐物は暗青紫色を呈する。
エタノール中毒にも注意(エタノールの項参照)。

ポビドンヨード

マウス(経口)
 LD50
 8,100~8,500㎎/㎏

消化器系:大量服用で,悪心・嘔吐,腹痛,血性下痢
その他:ヨウ素疹などのヨウ素過敏症状

毒性は低く,通常の誤飲では問題ない。
消化管内の食物と結合して不活化される。
遊離ヨウ素は消化管から吸収されない。
服用直後には牛乳または3%バレイショデンプン液を飲ませる。
解毒剤の1%チオ硫酸ナトリウム液100mLを内服。
胃洗浄は1~10%バレイショデンプン液または1%チオ硫酸ナトリウム液を用いる(牛乳や微温湯でも可)。
胃内にデンプンがあれば吐物は暗青紫色を呈する。

次亜塩素酸ナトリウム

幼小児経口致死量
 15~30mL(5%液)
マウス(経口)
 LD50 >5mL/㎏(4~6%液)

消化器系:口腔~消化管粘膜の腐食・激しい痛み・灼熱感,食道狭窄,悪心・嘔吐,下痢,腹痛
呼吸器系:気道内への吸引による喘音を伴う咽頭・声門・喉頭の浮腫
吸入では鼻や気管支などの粘膜刺激,息苦しさ,咳,呼吸困難

強アルカリと酸化作用による粘膜腐食作用がある。腐食作用は誤飲量よりも溶液の濃度の影響が大きい。
催吐は禁忌。
牛乳,卵白を与える(蛋白質により不活化される)。
胃洗浄は禁忌だが,実施する時には穿孔に注意する。
誤飲時は口腔内に塩素臭がある。

グルコン酸クロルヘキシジン

マウス(経口)
 LD50 1,260~1,950㎎/㎏

消化器系:大量服用で,悪心・嘔吐,腹痛,下痢,咽頭・食道の浮腫や壊死

毒性は低く,通常の誤飲では問題ない。
消化管からほとんど吸収されない。
腐食作用があるので,催吐は禁忌。

エタノール

成人経口致死量
 6~10mL/㎏(100%液)
幼小児経口致死量
 3.6mL/㎏(100%液)

100%液を30分以内に,成人250mL,幼小児6~30mL服用すると危険

消化器系:悪心・嘔吐
中枢神経系:運動失調,痙攣,昏睡
循環器系:低血圧,ショック
呼吸器系:呼吸困難,チアノーゼ
その他:全身の熱感,脳浮腫,低体温,低血糖,代謝性アシドーシス

30~60分で80~90%が吸収されるが,消化管内に食べ物があれば吸収は遅延する。
2時間以内であれば胃洗浄は有効だが,睡眠薬と一緒に服用している場合にはそれ以降でも可能。
胃洗浄は1%炭酸水素ナトリウム液,またはクエン酸ナトリウム液で行う。

イソプロパノール

ヒト経口推定致死量
 120~240mL(70%液)

消化器系:悪心・嘔吐,吐血
中枢神経系:運動失調,めまい,頭痛,錯乱,昏睡
循環器系:低血圧,ショック
呼吸器系:呼吸困難
その他:低体温,低血糖

胃洗浄は1%炭酸水素ナトリウム液で行う(微温湯でも可)。
エタノールに比べ,毒性および麻酔作用は強い。

ホルマリン
 
(ホルムアルデヒドを
 35~38%含有)

ヒト経口推定致死量 
 30~120mL(37%液)

消化器系:口腔・咽頭・食道の灼熱感,心窩部痛,食道・胃の穿孔,胃の激痛,悪心・嘔吐,腹痛,吐血
中枢神経系:めまい,痙攣,意識障害,昏睡
循環器系:蒼白,脈拍微弱,低血圧ショック
泌尿器系:排尿困難,乏尿,無尿
その他:代謝性アシドーシス
吸入(ホルムアルデヒドガス)では眼・鼻・上気道粘膜の刺激,呼吸困難,咳,嚥下困難,気管支炎,肺炎,高濃度で喉頭浮腫
皮膚に接触では皮膚刺激と硬化,高濃度では凝固壊死,皮膚炎
眼に接触では結膜炎,角膜熱傷,失明

催吐は禁忌。
胃洗浄は穿孔に注意して,0.2%アンモニア水,1~2%炭酸アンモニウム液または牛乳を用いる。
吸入時は希アンモニア水を嗅がせる。ホルムアルデヒドはアンモニアと反応して毒性の少ないヘキサメチレンテトラミンに変化する。
体内に吸収されたホルムアルデヒドは酸化されてギ酸となり,代謝性アシドーシスを生じる。
ホルマリン液にはホルムアルデヒドの重合を避けるために10~15%のメタノールが添加されているので,メタノール中毒にも注意を要する。
接触時は大量の水と石けんで洗浄。

グルタラール

マウス(経口)
 LD50 270~290㎎/㎏

消化器系:消化管刺激・出血
中枢神経系:めまい,無気力
循環器系:低血圧,ショック
その他:代謝性アシドーシス,歩行困難,筋攣縮
皮膚に接触では皮膚・爪が褐色~黄色に変色

胃洗浄は,腐食状態を確認後,水または牛乳を投与してから行う。

塩化ベンザルコニウム
塩化ベンゼトニウム

ヒト経口推定致死量 
 0.5~5mL/㎏(10%液)

消化器系:悪心・嘔吐,口腔・咽頭の灼熱感,咽頭痛,流涎,心窩部痛
中枢神経系:精神錯乱,痙攣,脱力,昏睡
循環器系:低血圧,ショック
呼吸器系:努力性呼吸,チアノーゼ,窒息,喉頭浮腫,肺水腫
その他:眼調節障害

高濃度溶液の場合は腐食作用があるので,催吐は禁忌。
原液に近いものや,大量を誤飲した場合は,急速に吸収されるので注意を要する。
摂取後25分以内の死亡例がある。

塩酸アルキルジアミノエチルグリシン
アルキルポリアミノエチルグリシン

ヒト経口推定致死量
 2L(10%液),3g/㎏

消化器系:悪心・嘔吐,腹痛,下痢

胃洗浄は牛乳またはうすい石けん液を投与してから行う。

マーキュロクロム

成人経口推定致死量
 75mL(2%液)
乳児経口推定致死量
 10mL(2%液)

消化器系:悪心・嘔吐,腹痛,下痢,粘膜びらん,流涎 歯肉着色
中枢神経系:頭痛,不眠,興奮,幻覚,歩行障害
循環器系:ショック
その他:腎障害

胃液により沈殿するので,吸収は遅い。
解毒剤のキレート剤は,D-ペニシラミン(第一選択)またはチオプロニンの内服,あるいはBALを筋注。ただし消化管内に多量の水銀が残存している時のキレート剤投与は吸収を助長するので,消化管内の洗浄を十分に行った後に実施する。

アクリノール

マウス(皮下)
 LD50 120㎎/㎏

消化器症状:大量服用で,悪心・嘔吐,腹痛,下痢
その他:肝機能障害

毒性は低く,通常の誤飲では問題ない。
経口では消化管からほとんど吸収されず,大部分は糞便中に排泄。

オキシドール
 
(過酸化水素を
 2.5~3.5%含有)

ラット(経口)
 致死量
  4g/㎏(9.6%液)

消化器系:悪心・嘔吐,腹部膨満感,口内炎,咽喉頭炎,食道炎,酸素ガス発生による鼓腸

多量または過酸化水素の高濃度溶液(10%以上)の誤飲でなければ,問題はない。
高濃度溶液は強い刺激腐食作用を有する。
牛乳を与える(分解促進)。
催吐は禁忌。
ガス発生時には消泡剤ガスコンTMドロップや吸着剤投与,導管によるガス排除。

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