〔医薬品一般〕
Q:抗菌薬の併用療法でATM療法とは何か?(薬局) |
潰瘍性大腸炎(UC)の発症・増悪には,嫌気性桿菌フソバクテリウム・バリウム(Fusobacterium varium)の腸管粘膜への付着・侵入が関係していることが示唆されている。この菌の除菌を目的に,抗菌薬の多剤併用療法(ATM療法)が施行されている。ATM療法はアモキシシリン1,500mg/日,テトラサイクリン1,500mg/日,メトロニダゾール750mg/日を分3で2週間経口投与する(保険適応外使用)。無作為化対照パイロット試験では,投与終了3〜5ヶ月後,12〜14ヶ月後に対照群と比較して症状,内視鏡所見,病理所見ともに有意な改善が認められ,再発率も低下した。 |
Q:薬の添付文書の右側に赤色の印があるがどうしてか?(一般) |
薬の「使用上の注意」事項に「警告」の項目がある場合,注意を喚起するために添付文書の表面の右肩に赤色の帯が印刷されている。「警告」は,致死的または極めて重篤かつ非可逆的な副作用が発現する場合,または副作用が発現する結果極めて重大な事故につながる可能性があって,特に注意を喚起する必要がある場合に,添付文書の本文の冒頭に,赤枠内に赤字で記載される(必要な場合は[ ]内に設定理由を記載)。 |
Q:臨床検査値でESRとは何か?(薬局) |
赤血球沈降速度(ESR:Erythrocyte Sedimentation Rate)で,血沈あるいは赤沈とも言う。炎症マーカー検査であるが,種々の要素の影響を受けやすいため補助的検査項目のひとつとされている。抗凝固薬を加えた血液を細い沈降管に入れて垂直に立て,1時間後に血漿最上部から沈降した赤血球層までの距離(mm)を記録する。正常値は,1時間値が男性で10mm以下,女性で15mm以下。赤血球数やアルブミンの減少,γグロブリンやリポ蛋白の増加などで亢進し,貧血,感染症,膠原病,心筋梗塞,悪性腫瘍などの時に高値となる。またDIC(血管内凝固症候群)などのフィブリノーゲンが減少した場合や赤血球増加症では遅延して,低値となる。 |
Q:スピリーバ™は1日1回の吸入だが,いつ使用したら良いか?(薬局) |
スピリーバ(臭化チオトロピウム)は長時間作用型の抗コリン薬である。朝投与と夜投与による肺機能に及ぼす影響を検討した結果,投与6週間後における肺機能は投与時間に関係なく,プラセボとの間に有意差が認められた。朝投与により日中の活動性が保たれることから,朝1回投与が推奨される。 |
Q:フランドル™テープの貼付場所は,胸以外ではどこに貼れば良いか?(一般) |
背部,上腹部に貼付しても血中濃度の推移に有意差はない。 |
〔安全性情報等〕
Q:ピルの副作用で血栓症が心配だが,どんな症状に気をつけたら良いか?(一般) |
A:
ピル服用者は未服用者に比べ,静脈血栓症(四肢,肺,心筋,脳,網膜等)のリスクが3.25〜4.0倍高く,またそのリスクは最初の1年間に最も高いという外国の疫学調査の結果報告がある。初期症状は下肢の疼痛・浮腫,突然の息切れ,胸痛,激しい頭痛,急性視力障害等で,そのような症状が発現した時にはすぐに受診する。体を動かせない状態や顕著な血圧上昇がみられた場合などにリスクが高まる。 |
Q:モルヒネによる吐き気・嘔吐に使用する制吐薬の選択基準は?(薬局) |
A:
吐き気・嘔吐はモルヒネの投与初期や増量時に見られることが多いが,通常は連用により耐性が生じ,1〜2週間で消失する。吐き気・嘔吐は発現時期・状況により発現機序が異なるので,適切に制吐薬を選択する必要がある。
(オピオイドによるがん疼痛緩和:国立がんセンター中央病院薬剤部編,エルゼビア・ジャパン,2006年より) |
〔調剤・製剤・その他〕
Q:疼痛性口内炎や口角びらんにアネステジングリセリンを使いたいが製法は?(薬局) |
A:
アネステジン(アミノ安息香酸エチル)は局所麻酔薬,鎮痛・鎮痒薬であり,外用には,外傷,熱傷,日焼け,皮膚潰瘍,掻痒症,痔疾に5〜15%軟膏,液剤,散布剤または坐剤(200〜300mg/個)として使用する。疼痛性の口内炎等にも用いられるが,保険適応外使用である。製法(3%液)は,アネステジン(結晶性粉末)3gに少量のエタノールを加え,攪拌研和する。しばらくするとエタノールは揮発し,アネステジンの微粉末が残る。次に少量のグリセリンを加えて十分研和した後,さらに少量のグリセリンを加え研和し,残りのグリセリンを加えて全量100mLとする。綿栓などで口内に塗布する。 |
Q:内服用ルゴール液の希釈調製後の安定性は?(病院) |
A:
内服用ルゴール液の希釈調製後の遮光や冷所保存の必要性,保存容器の違いによる安定性を検討した試験によると,ポリエチレン容器の場合,遮光の有無にかかわらず,冷所保存では含量の低下はほとんどなく,遮光しなくても少なくとも28日間は安定である。室温保存した場合にはヨウ素含量が経日的に低下する。ガラス瓶で室温保存した場合,遮光の有無にかかわらずヨウ素含量は低下しない(富吉由貴ら:日病薬誌,41(12),1515,2005.より)。 |
Q:γ-BHCの保管方法は?(薬局) |
A:
γ-BHCは不燃性であるが,加熱されると有毒ガス(ホスゲン,塩化水素,一酸化炭素)を発生するので,耐火構造内で保管する。 |
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