薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介（2007年7月）

アレルギー性紫斑病はHenoch-Schönlein紫斑病，アナフィラクトイド紫斑病，血管性紫斑病とも言われる。IgＡの関与が示唆されるアレルギー性機序による血管障害で，多くは呼吸器感染の後に発症するが，薬物や食物に対するアレルギー反応によっても起こり，小児に好発する。臨床症状は，皮膚症状（足関節周囲を中心とする両側性対称性の点状出血斑・紫斑），関節症状（関節周囲の腫脹を伴う関節痛），消化器症状（腹痛，下痢，血便あるいは便潜血）を３主徴とする。紫斑病の発症から２〜４週間以内に，約半数には紫斑病性腎炎が生じ，その治療にレニン・アンジオテンシン（ＲＡＳ）系阻害薬のＡＲＢやＡＣＥ阻害薬が用いられる（保険適応外使用）。ＲＡＳ系阻害薬には，蛋白尿を減少させ，腎機能障害の進展抑制作用および腎機能改善作用が認められている。

パスツレラ症は，グラム陰性小球桿菌のパスツレラ属菌（13菌種）による人獣共通感染症で，原因菌は多くの哺乳動物の常在菌として存在する。健康なイヌの約75％，ネコのほぼ100％の口腔内に存在するが，一般に無症状で不顕性感染である。ヒトへの感染は約60％が呼吸器系の感染で，約30％が局所感染である。口移しで餌を与えたり，キスをするなどの行為により軽いかぜのような症状から重篤な肺炎までの呼吸器系感染を起こす。また，これらの動物に咬まれると，受傷部に約30分〜２日で激痛，発赤，腫脹等を起こし，糖尿病等の基礎疾患のある場合は重症化して骨髄炎や敗血症に進展することもある。日和見感染が多く，とくに高齢者，糖尿病の人など免疫力が低下しているヒトは注意が必要である。治療にはペニシリン系やセフェム系の抗生物質が使用される。予防は�@躾によって咬み癖をなくす，�A口移しで餌を与えたり，キスをしたり，口およびその周辺を舐めさせない，�B添い寝をしない，�Cネコやイヌの爪はこまめに切る等である。

胃瘻の瘻孔からの栄養剤の漏れや胃食道逆流による嘔吐や嚥下性肺炎，下痢の予防に液状の栄養剤を固形化や半固形化して投与する方法がある。固形化や半固形化された経腸栄養剤はないが，市販の食品には固形化のハイネゼリー™（大塚）や半固形化のメディエフ™プッシュケア（味の素ファルマ），リカバリーニュートリート™（三和化学），テルミール™ＰＧソフト（テルモ）などがある。とろみをつけるには，寒天やとろみ剤のトロメイク™（明治）などを使用する。

角膜保護用テープのメパッチ™クリア（ニチバン）が使われることがある。透明で柔軟なポリエチレンフィルムに，刺激の少ないアクリル系粘着剤を塗布したテープで，本来の用途は「手術時の眼部防水被覆」である。