〔医薬品一般〕
Q: 週に1回服用する骨粗鬆症治療薬のビスフォスフォネート系製剤を飲み忘れた場合の対処法は?(薬局) |
服用当日の気がついた時までに何も飲食物を摂っていなければ,できるだけ早く服用する。飲食物を摂った後であれば,飲み忘れた分を服用せずに翌日起床時に1回分を服用し(2回分を絶対に服用しない),その後はあらかじめ定められた曜日に1回分を服用する。 |
Q:低血糖時の症状は?対処時の食品には何を摂ったら良いか?(薬局) |
一般的に血糖値が60〜70mg/dL以下を低血糖と言う。60〜70mg/dL以下でグルカゴン,カテコラミン,コルチゾール,成長ホルモンなどが分泌され,空腹感,脱力感,冷感,動悸,振戦などの交感神経症状が発現する。50mg/dL以下で大脳皮質のブドウ糖欠乏による眠気,めまい,集中力低下などの中枢神経症状が発現し,さらに30mg/dL以下になると痙攣,意識消失,昏睡などの重篤な症状を起こす。症状発現時は血糖自己測定による確認を行い,ブドウ糖または砂糖10〜20g,またはそれに該当するジュースを摂取する。αグルコシダーゼ阻害薬を服用している患者はニ糖類の分解吸収が抑制されるため,砂糖を投与してもブドウ糖となって吸収されるまでに時間がかかるので,必ずブドウ糖を用いる。摂取15分以内に症状の改善がなければ同じ対応を繰り返す。グルコレスキュー™(ゼリー:ブドウ糖10g/包),グルコースサプライ™(錠剤:ブドウ糖4.5g/個)等の市販品もある。 |
Q:スパイロメトリーとは何か?(薬局) |
スパイロメトリー〔スパイロ(呼吸)+メトリー(測定)〕とは,肺の換気能力を検査することで,肺機能検査の基本となる。被験者に鼻栓をし,マウスピースを通じて呼吸をさせ,センサーによって口から出入りする空気の量や流量(流速)を測定する。検査機器をスパイロメータといい,得られたグラフをスパイログラムという。最大吸気位から努力呼出される量(努力性肺活量:FVC)と,その際,最初の1秒間で呼出される呼気量(1秒量:FEV1.0)を測定し,FEV1.0/FVC×100により1秒率(FEV1.0%)を算出する。気管支拡張薬を投与後の1秒率が70%未満の場合は,COPD(慢性閉塞性肺疾患)の疑いがある。 |
〔安全性情報〕
Q: 前立腺肥大症の排尿障害に交感神経α1遮断薬を使いたいが,副作用の起立性低血圧が起こりにくいのはどれか?(薬局) |
交感神経α1受容体には3つのサブタイプ(A,B,D)があり,前立腺にはα1Aとα1D,血管にはα1Bが多く存在する。特徴は次の通り。
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Q:血中ミオグロビン値が少し高いと言われたが,どういう意味か?(一般) |
ミオグロビン(Mb)は主に心筋や骨格筋の筋細胞に存在する分子量約17,200のヘム蛋白である。ヘモグロビンと同様に酸素と可逆的に結合するが,ヘモグロビンよりも酸素親和性が高く効率よく血中の酸素を筋組織で受け取り,筋組織内に運搬・貯蔵してエネルギー産生系に供給する。健常人の血中にも存在するが,筋組織の障害で血中に流出し,ヘモグロビンより小分子で,また血清蛋白と結合しないため短時間のうちに尿中へ排泄される。そのため血中あるいは尿中のミオグロビンの測定は心筋梗塞などの筋障害や筋ジストロフィーなどの骨格筋障害における筋組織の障害の程度,その重症度や予後の判定に有用である。特に急性心筋梗塞時には他の心筋梗塞マーカーよりも早期に高濃度に血中に出現するため(発症後1〜3時間で血中に上昇し始め,6〜10時間程度でピークに達し,1〜2日以内に正常化する),早期診断に有用である。高値を示す疾患・病態は,急性心筋梗塞,狭心症,筋ジストロフィー症,多発性筋炎,皮膚筋炎,甲状腺機能低下症,腎不全,悪性高熱症,激しい運動後,筋肉注射などである。 |
Q:1歳児が入れ歯洗浄剤(義歯洗浄剤)の酵素入りポリデント™を1錠食べた。毒性は?(薬局) |
義歯洗浄剤の水溶液の液性は中性〜弱アルカリ性(pH7〜10)の製品が多いが,一部に強アルカリ性(pH12以上)の製品もある。漂白剤(過炭酸ナトリウム,過ホウ酸ナトリウム,過硫酸カリウム等)25〜50%,発泡剤(炭酸水素ナトリウム,炭酸ナトリウム等)25〜50%,酸性化剤(クエン酸等)2〜20%,界面活性剤等を含み,また強アルカリ性の製品はクエン酸を含まずアルカリ化剤(リン酸三ナトリウム)10〜50%を含む。酵素入りポリデント™は中性〜弱アルカリ性で,1錠以下の誤飲では危険性は少ないが,胃部不快感や腹部膨満感など弱アルカリによる粘膜刺激が問題となる。牛乳や卵白などを与え様子を見て症状があれば受診する。大量摂取の場合,過ホウ酸ナトリウムによる中毒症状(悪心・嘔吐,下痢,腹痛などの消化器症状)で始まる。特異な症状はエリテマトーデス様の紅斑で,その他に神経系,肝,腎,呼吸,循環器系症状がある。また,炭酸水素ナトリウムによる症状(体液・電解質バランス異常)が発現する可能性があり,対症療法を行う。強アルカリ性の製品を誤飲の場合は,催吐や酸性飲料・炭酸飲料の投与は禁忌で,卵白や牛乳を飲ませすぐに受診を指示する。 |
〔調剤・製剤〕
Q: エフオーワイ™(メシル酸ガベキサート)軟膏0.5%の作り方は?(薬局) |
胃ろう・腸ろう・人工肛門周囲皮膚のびらんなどに,膵酵素阻害薬のメシル酸ガベキサート軟膏が用いられる(保険適応外使用)。 |
Q:ワゴスチグミン™(臭化ネオスチグミン)軟膏0.1%の作り方は?(薬局) |
A:
便失禁時に,副交感神経興奮薬・コリンエステラーゼ阻害薬のワゴスチグミン™軟膏が用いられる(保険適応外使用)。 |
〔行政・保険〕
Q:高度管理医療機器等の販売業者の許可を受けているが,研修を受けなければならないか?また,特定保守管理医療機器を取り扱う場合,新たに許可が必要か?(薬局) |
A:
高度管理医療機器等の販売業等の営業所の管理者は,毎年度継続研修を受講することが義務付けられている(薬事法施行規則第168条および第175条第2項:医療機器販売業等の営業所の管理者に対する研修)。特定保守管理医療機器は高度管理医療機器等に含まれるので,新たに許可を受ける必要はない。 |
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