公益社団法人福岡県薬剤師会

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質疑応答

質疑・応答をご覧になる方へ


福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。

回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。

県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。


質疑・応答検索

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鉄剤のフェロ・グラデュメットは、1日おきに飲んだ方が吸収が良いのか?(一般)
疾病・治療法
年月 2024年2月 

鉄欠乏性貧血治療薬のフェロ・グラデュメット(硫酸第二鉄)は徐放型鉄剤で、用法・用量は「1日1~2錠を1~2回に分けて、空腹時または副作用が強い場合には、食事直後に服用する」である。
2021年英国消化器学会の鉄欠乏性貧血ガイドラインでは、鉄剤の服用方法として、「成人では1日1回が推奨され、また胃腸障害などの副作用が出現した場合は、隔日投与に変更する」ことを推奨している。
鉄剤を増量したり、1日に複数回に分けて服用すると、鉄代謝制御の中心的な役割を担っているペプチドホルモンであるヘプシジンの濃度が上昇し、鉄剤の吸収が抑制する可能性がある。また、隔日投与では、体内の鉄の枯渇により、鉄剤の吸収が増加する可能性がある。
効果的な服用方法について調べた調査には、以下の報告がある。
(分服について)血漿フェリチン値が20μg/L以下の非貧血の18~45歳の女性(54人)。鉄剤40、60、80、160、および240mgを朝8時(絶食時)に単回投与したところ、60mg以上の投与では24時間後に血清ヘプシジンが増加し (P<0.01)、鉄吸収率が35~45%減少した (P<0.01)。鉄の投与量を6倍(40~240mg)に増やしても、吸収された鉄量は3倍(6.7~18.1mg)しか増加しなかった。
また、60mgの鉄を1日2回(午前10時と午後4時)投与では、1日1回朝投与と比較して、翌日の午前8時にヘプシジンが高くなった。60mgの鉄剤を24時間以内に3回(午前10時、午後4時、午前8時)投与した場合、吸収された総鉄量は、23.6mgであったのに対し、午前8時の投与を2回した場合は22.6mgで、吸収された鉄分量に有意差はみられなかった。

(Diego M et al.:Blood. 2015 Oct 22,126(17):1981-1989より)

(隔日投与について)血清フェリチン値が25μg/L以下の18~40歳の女性(40人)。硫酸鉄(鉄として60mg)を14日間連日投与群(連日投与群:21人)と硫酸鉄(鉄として60mg)を28日間隔日投与群(隔日投与群:19人)の比較。最終投与から14日後における赤血球中の鉄同位体標識量を測定し、比較した。鉄の総投与量は同じだが、生物学的利用率は、連日投与群が16.3%(標準偏差:9.3~28.8)、隔日投与群が21.8%(標準偏差13.7~34.6)と、隔日投与群のほうが高かった(p=0.0013)。また、血清ヘプシジンは隔日投与群より連日投与群のほうが高かった。有害事象(吐き気など)に有意差はなかったが、隔日投与群のほうが少ない傾向がみられた。

(Nicole U S et al.: Lancet Haematol, 2017 Nov 4(11):e524-e523より)

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