質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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褥瘡の治療で、抗菌薬の軟膏は効果あるか?(病院薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2024年12月 |
抗生物質(抗菌薬)軟膏の使用に対し、創傷・褥瘡・熱傷ガイドラインでは以下のように記載されている。
(急性期褥瘡の治療)
感染予防の目的でスルファジアジン銀の使用が薦められる。短期間の使用であれば、抗生物質(抗菌薬)含有軟膏を使用してもよい。
(慢性期の浅い褥瘡(びらん、浅い潰瘍)の治療)
・スルファジアジン銀をcritical colonization (臨界的定着)が疑われる浅い褥瘡に使用する場合は、創の浮腫や周囲上皮の浸軟が現れることがあるので注意を要する。
・ゲンタマイシン含有軟膏などの油脂性基剤抗生物質(抗菌薬)含有軟膏は、創面の保護目的と感染の制御、予防の目的で、急性期あるいは慢性期の浅い褥瘡に対して、短期間であれば用いてもよいが、長期使用により耐性菌の出現する可能性があるので注意を要する。
(慢性期の深い褥瘡の治療)
・褥瘡感染があると判断した場合は、抗菌薬の全身投与が必要である。潰瘍面からの細菌培養のみならず、潰瘍周囲の皮膚の炎症所見や発熱、白血球増多、炎症反応亢進がみられる時は抗菌薬の全身投与を行う。
・感染を制御する時の外用薬として、カデキソマー・ヨウ素、スルファジアジン銀、ポビドンヨード・シュガー、ポビドンヨードゲル、ヨウ素軟膏、ヨードホルムが使用できるが、抗生物質(抗菌薬)含有軟膏には優位性を示すエビデンスはない。抗生物質(抗菌薬)含有軟膏を深い褥瘡の感染制御を目的に使用する場合、長期間に渡って使用されることが多く、菌交代現象を起こす可能性があるため用いない方がよい。
(創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)-2褥瘡診療ガイドライン(第3版)より)