質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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静脈注射ができない患者に、メロペネムの皮下投与は可能か?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2025年2月 |
静脈点滴ラインがとりにくい高齢者や終末期患者において、注射薬の皮下投与は安全かつ苦痛の少ない投与経路である。静脈点滴に比べてTmaxが遅くCmaxも低いが、半減期が長く、長時間安定した血中濃度を得やすい。抗菌薬の皮下投与は、セフトリアキソン等のセファロスポリン系の使用報告が多いが、他のβラクタム系抗菌薬のペニシリン系やカルバペネム系も、皮下点滴での効果が期待される。しかし、臨床報告例が乏しく、日本における皮下投与に関するエビデンスは限られている。
(海外での報告:prospective crossover self-controlled study)
メロペネムを服用している安定した入院患者11名に、50mLの生理食塩水に溶解したメロペネムを皮下投与※した結果、忍容性は良好であった。皮下投与のバイオアベイラビリティは81.5%(95%CI 71.6%-93.2%)であった。静脈注射と比較して、皮下投与ではピーク濃度が低く、トラフ濃度が高かった。1.5gを1日2回の皮下投与、または3gを24時間連続皮下点滴投与を試行すると、1gを1日3回の標準的な静脈投与に比べて PTA(Probability of target attainment:治療目標達成率)が改善された。
(Murray F et. al:J Antimicrob Chemother. 2025 Jan 3;80(1):209. より)
※日本での承認用法は点滴静注である。