公益社団法人福岡県薬剤師会

文字サイズ 文字サイズを縮小する文字サイズを標準サイズにする文字サイズを拡大する

  • ホーム
  • 福岡県薬剤師会について
  • 県民の皆様へ
  • 薬剤師の皆様へ
  • 薬事情報センター
  • 会員専用ページ

質疑応答

質疑・応答をご覧になる方へ


福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。

回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。

県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。


質疑・応答検索

相談内容をクリックすると回答内容がご覧になれます。

※相談内容を検索する際に、検索語に英数字が含まれる場合は、半角と全角の両方での検索をお試しください。

潜在性甲状腺機能低下症とは?(一般)
疾病・治療法
年月 2025年11月 

潜在性甲状腺機能低下症は、症状や所見にはあらわれない程度の軽い甲状腺ホルモン不足の状態のことをいう。遊離甲状腺ホルモン(FT4)は脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激を受けて甲状腺から分泌されるが、潜在性甲状腺機能低下症では、FT4がやや低い傾向にあり、正常に保つために多くのTSH刺激を必要としている状態である。血液検査で、FT4は基準範囲内だが、同時に測定したTSHのみが正常値よりも高い場合をいう。
健康な人の3.3~6.1%に認められ、女性に多く年齢が上がるにつれて増加する。甲状腺自己抗体陽性の潜在性甲状腺機能低下症は、1年に4.3%の人が顕性甲状腺機能低下症(FT4低下、TSH上昇の状態)になると報告されている。
(原因)約60~80%が慢性甲状腺炎(橋本病)で、ヨウ素過剰(海藻多食、造影剤など)、薬剤性、甲状腺手術後、アイソトープ治療後などが多い。その他、頸部放射線照射後、破壊性甲状腺炎の回復期などがある。
(症状)自覚症状はないことがほとんどだが、高LDLコレステロール血症や動脈硬化性疾患、心脳血管障害、女性では不妊や流産との関連が指摘されている。
(治療)まずは一過性でないことを確認するため、昆布、ヨードを含んだ卵、ヨウ素含有咳嗽液などによるヨウ素過剰摂取があれば、ヨウ素摂取制限を行い、1~3ヶ月ほど後に再検査する。
再検査後、その異常が持続していてTSHが10μU/mLを超えている場合には治療対象となり、合成T4製剤(レボチロキシンナトリウム)の内服を開始する。TSHが10μU/mL以下の場合は、高コレステロール血症の有無などに応じて、レボチロキシンナトリウムの内服を行うかどうか検討する。治療を行わないとした場合は、6~12ヶ月後に甲状腺機能を再検査する。
薬剤性の場合、可逆性であっても中止できない場合は、治療の対象となる。
妊娠希望のある、または妊娠初期の女性で甲状腺自己抗体が陽性の潜在性甲状腺機能低下症は、流・早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高く、治療によりそのリスクを改善できる可能性が高い。そのため、TSH 2.5μU/mL以下を目標に、レボチロキシンナトリウムの内服を開始する。甲状腺自己抗体が陰性であっても、不妊治療中である場合や流産を繰り返している場合など、治療による効果を期待してレボチロキシンナトリウム治療を行うこともある。


1)日本内分泌学会ホームページ 潜在性甲状腺機能異常
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=39
2)山田早耶香ら:日本内科学雑誌 113(4),2024.

ページの先頭に戻る