質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ

福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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| 口腔内カンジダ菌がむし歯の進行に影響することはあるか?(一般)
疾病・治療法 |
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| 年月 | 2025年12月 |
むし歯は、細菌(ミュータンス菌等)が糖を分解して作る酸によって歯が溶けることで進行する。また、フッ化物は歯質の強化や細菌の酸産生を抑える働きがあり、むし歯予防に広く使用されている。近年、むし歯の進行に真菌のカンジダ菌も関与している可能性が指摘されており、カンジダ菌がどのように糖から酸を産生し、フッ化物の影響を受けるのかを明らかにした以下の報告1)がある。
5種類のカンジダ菌(C.albicans、C.tropicalis、C.parapsilosis、C.maltosa、C.glabrata)を対象に実験を行った。
好気環境と嫌気環境でのカンジダ菌の増殖や酸産生を測定し、フッ化物がその働きを抑えるかを検証した。その結果、カンジダ菌は嫌気環境下では増殖しないものの、代謝を続けて酸を産生することが分かった。これは、むし歯が進行する口腔内の低酸素環境下でも、カンジダ菌が歯を溶かす酸を作り続ける可能性を示している。また、C.glabrataを除くすべてのカンジダ菌において、酸産生はフッ化物の影響をほとんど受けなかった。むし歯の原因菌である細菌と比較しても、カンジダ菌はフッ化物に対して高い耐性を持っていることが明らかになった。
さらに、カンジダ菌がフッ化物の影響を受けにくい理由を調べるため、カンジダ菌の内部にある酵素(フッ化物阻害の標的となることが知られているエノラーゼ)を取り出して実験を行ったところ、フッ化物によって阻害されることが確認された。これは、カンジダ菌がフッ化物を菌体内に取り込みにくい仕組みを持っている可能性を示唆している。
今回の実験により、従来のむし歯対策は主に細菌を対象としていたが、今後は真菌を含めた口腔内の微生物バランスを考慮した新しい予防法が求められる。
1)東北大学 Press Release 2025年3月27日.














