質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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テルネリンが、抗コリン様作用を有する機序は?(薬局)
薬効・薬理、体内動態 |
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年月 | 2025年3月 |
テルネリン(チザニジン)は、中枢性α2-アドレナリン受容体作動性の筋弛緩薬である。
脊髄および上位中枢に作用して、脊髄多シナプス反射を抑制することにより、骨格筋を弛緩させる。添付文書には、口渇や腹部症状、尿閉などの「抗コリン様作用」の副作用が記載されており、日本老年薬学会より発表された「日本版抗コリン薬リスクスケール」では、スコア3と評価されている。
チザニジンはイミダゾール骨格を有するが、イミダゾールから誘導される含窒素複素環化合物のイミダゾリン様構造を有する化合物は、α2-アドレナリン受容体作動性を示す。
副交感神経のシナプス前膜にはα2-アドレナリン受容体が存在し、交感神経の活性化で放出されたノルアドレナリンが作用して副交感神経からのアセチルコリン放出を抑制する。したがって、チザニジンの「抗コリン様作用」は、α2-アドレナリン受容体活性化を介したアセチルコリンの放出抑制を介している可能性が示唆されている。さらに、アドレナリンによるカルシウムイオンの流入抑制がアセチルコリンの放出抑制につながるメカニズムも考えられる。
(茂木正樹ら:日本老年薬学会雑誌 7(4), 69, 2024. より)