質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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全身型コバルトアレルギーの患者が、ビタミンB12を使用しても問題ないか?(薬局)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2020年8月 |
ビタミンB12は構造中にコバルトを含み、まれに服用により全身型金属アレルギーを起こすことがある。1)内服薬や注射薬に含まれるビタミンB12は、全身型コバルトアレルギー患者では避けるべきであり、同時に金属制限食も施行する。コバルトはほとんどの食品に含まれ、干しわらび、干しひじき、青のり、ピュアココア等に多く含まれる。2)ただし、医薬品のビタミンB12製剤(コバマミド、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メコバラミン)は、コバルトアレルギー患者に禁忌ではない。
(症例報告)1)
76歳男性。糖尿病、高血圧のため、10年前よりグリミクロン、アダラートL、メチコバールを服用中。約1年前より体幹にそう痒を伴う紅色丘疹が多発性に出現し、軽快増悪を繰り返しながら全身に拡大し、ステロイド外用剤で軽快しなかった。パッチテストでは塩化コバルト強陽性、メコバラミン陰性、皮内テストではいずれも陰性であり、コバルトアレルギーを疑い、コバルト含有物との接触回避、コバルトを多く含む食品の摂取制限、メチコバールを中止すると、2週間以内に皮疹は色素沈着を残して軽快した。
皮疹消退後、コバルト制限食を継続しながらメチコバール1,500μg/日を内服負荷したところ、4日目から初診時とほぼ同様の皮疹が再現した。メチコバールによる皮疹消退後、塩化コバルト1mgを内服負荷したところ、3日後より同様の皮疹が再現した。以上より、コバルトアレルギーにより発症したビタミンB12製剤による薬疹と診断した。
1)鷲尾文郎ら:皮膚病診療 16(7),597,1994. 2)足立厚子:日医雑誌 142(3),533,2013.