〔医薬品一般〕
Q:皮膚科の紫外線を用いた光線療法でオクソラレン™(メトキサレン)を用いるのはなぜか?(薬局) |
紫外線は,UVA(長波長紫外線:320〜400nm),UVB(中波長紫外線:290〜320nm),UVC(短波長紫外線:200〜290nm)の3種に分類される。波長が短いほど皮膚透過性は小さいが,エネルギーは大きく細胞毒性が強いため,皮膚科領域の光線療法に用いるのは,UVAまたはUVBである。UVAとソラレン誘導体(メトキサレン)を併用したPUVA療法(Psoralen ‐ Ultraviolet A Therapy,プーバ療法),UVB療法およびUVBの特定波長だけを光源として使うナローバンドUVB療法などがあり,疾病(尋常性乾癬,尋常性白斑,円形性脱毛症,掌蹠膿疱症,難治性アトピー性皮膚炎など)の種類や程度により使い分けられている。PUVA療法ではUVA照射前に光増感剤としてメトキサレン(オクソラレン™錠・軟膏・ローション:360nm付近に高い活性を有する)を併用する。UVAは皮膚透過性が大きく深達性であるが,エネルギーが小さいので,それを補うためにオクソラレン™の内服あるいは外用,病変が広範囲にわたる場合は薬浴をすると,皮膚のUVAに対する感受性が高まるので,照射時間の短縮や照射量を抑えることが可能である。ただし,オクソラレン™の「尋常性白斑」以外に対する処方は保険適応外使用となるが,社会保険診療報酬支払基金が設置している「審査情報提供検討委員会」で,「乾癬」に対する使用が審査上認められることとなった(保医発0915号第1号,平成21年9月15日)。 |
Q:出血性膀胱炎の治療法は?(薬局) |
出血性膀胱炎とは,肉眼的に血尿を認め,白く濁る膿尿の症状がない膀胱炎で,急性出血性膀胱炎とも呼ばれる。原因は,ウイルスや細菌感染,薬剤の投与,放射線療法,食物や薬のアレルギー等だが,子供がかかりやすく,アデノウイルスによるものが一番多い。アデノウイルスによるものでは,排尿時に痛みがあり,真っ赤な血尿が出る。抗アデノウイルス薬はないが,水分を十分に取り安静にすれば,症状は数日で改善するが,尿検査の潜血反応も10日ほどでなくなる。薬剤では抗がん剤のシクロホスファミド等により起こり,軽い血尿には止血剤の使用や原因薬剤の中止で改善されるが,重症の場合,血尿中で血液が塊となり,尿閉や膀胱萎縮を起こすこともあるため,水分を多めにとり,排尿を多くして膀胱炎を予防する。 |
Q: 睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)に使用される薬剤はあるか?(薬局) |
SASは呼吸中枢障害により呼吸停止する中枢型(CSAS:Central SAS)と,睡眠中に呼吸運動はあっても上気道が閉塞して換気が低下し,ひどいいびきを特徴とする閉塞型(OSAS:Obstructive SAS)に大別され,閉塞型が大半を占める。国内でSASに保険適応があるのは炭酸脱水素酵素阻害薬のアセタゾラミド錠のみで,代謝性アシドーシスを起こして呼吸中枢を刺激し,換気量を増大させるが,効果は限定的である。保険適応外使用ではOSAS対して,呼吸中枢刺激作用を有するテオフィリン,プロゲステロン誘導体(クロルマジノン酢酸エステル,メドロキシプロゲステロン),ナロキソン塩酸塩,ドキサプラム塩酸塩,持続時間が長い無呼吸が集中するレム睡眠を抑制する三環系抗うつ薬(イミプラミン塩酸塩,クロミプラミン塩酸塩)やα2受容体アゴニストのクロニジン塩酸塩,脳幹部におけるセロトニン機構を介して,上気道開大筋活動と横隔膜の呼吸運動を促進するSSRIのパロキセチン塩酸塩水和物等が使用される。さらに,交感神経活動あるいは圧受容体反射の抑制によるSASの改善を期待して,降圧薬であるβ遮断薬のメトプロロール酒石酸塩,ACE阻害薬のシラザプリル等が使用される。 |
Q: 網膜色素変性症とはどんな病気か?ビタミンAは効果があるのか?(薬局) |
網膜色素変性症は視細胞に障害がみられる遺伝性の疾患で,特定疾患に指定されている。一般的な初発症状は暗いところでの見え方が悪くなる暗順応障害(とりめ,夜盲)だが,最初に視野狭窄で気がつくこともあり,人によくぶつかったり,車の運転に支障をきたすことが気づくきっかけとなる。視力低下や色覚異常は,あとから発現する。両眼性および進行性で失明に至る例が多いが,症状発現の速さ,症状の組み合わせや順番は個人差がある。現在,網膜の機能回復や確実に進行を止める確立された治療法はない。アメリカでの研究で,ビタミンA(15,000 IU/日)が網膜色素変性症の進行を遅らせる働きがあることが報告されているが,効果は未確立で,蓄積による副作用を起こすこともあり,さらなる検討が必要である。 |
Q:細菌の薬剤感受性検査で,最小発育阻止濃度(MIC:Minimum Inhibitory Concentration)はどのようにして定量するのか?(薬局) |
一定量の被検菌を,抗菌薬を倍に希釈して作製した2倍希釈系列の培地に培養し,肉眼的に菌発育が観察されない最小薬剤濃度を終末点(end point)としてMICを定義する。用いる培地により,寒天平板希釈法,液体培地希釈法(微量法・試験管法)の2つがあるが,臨床検査ではマイクロプレートのウェル(用量0.1〜0.2mL)で培養する微量液体希釈法が使用されている。微量液体希釈法では薬剤含有培地と接種菌液を調製し,試験培地へ菌を接種し,35℃,通常大気で16〜20時間培養し(ブドウ球菌,腸球菌のオキサシリン,バンコマシシンは24時間),肉眼的に全く菌発育が観察されない最小薬剤濃度を判読する。 |
〔安全性情報等〕
Q:副腎皮質ステロイドを服用すると血圧が高くなることがあるらしいが,なぜか?(一般) |
ミネラルコルチコイド作用により,ナトリウム再吸収促進による血圧上昇,低カリウム血症がみられ,細胞外液量の増加を介して高血圧を生じる。またグルココルチコイド作用による血圧上昇は十分には解明されていないが,レニン基質の産生増加によるアンジオテンシンK産生増加と腎臓のカリクレインおよびプロスタグランジンE2産生低下,血管平滑筋細胞におけるアンジオテンシンK受容体の増加,エリスロポエチン産生増加による血管収縮,血管内皮における一酸化窒素(NO)の産生抑制,スーパーオキシド過剰産生によるNOの利用障害による血管内皮機能障害などが考えられている。 |
〔保険・行政・その他〕
Q: 薬局で血糖自己測定器を販売する場合,許可の申請先および申請料は?(薬局) |
血糖自己測定器の販売には高度管理医療機器等販売業・賃貸業の許可が必要である。福岡市,北九州市,大牟田市,久留米市に店舗・営業所を有する場合は各市の保健所が,それ以外の福岡県内の場合は管轄する各保健福祉環境事務所が申請窓口で,申請手数料は29,000円(県領収証紙)。 |
Q:褥瘡に用いるデュオアクティブ™ETは院外処方せんで交付できるか?(薬局) |
デュオアクティブ™ETは皮膚欠損用創傷被覆材(真皮に至る創傷用)で,処置に用いた場合にのみ保険適応できる特定保険医療材料であり,院外処方せんでは交付できない。 |
Q:薬歴の訂正は修正テープなどを使ってはいけないか?(薬局) |
薬歴の記載にはボールペンやインクなど,消しゴムで消えないものを使用する。間違った場合は,二重線で消して訂正し,修正テープ等は使用しない。電子媒体の場合,真正性の確保のため,故意または過失による虚偽入力,書換え,消去および混同を防止する。 |
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