〔医薬品一般〕
Q:パーキンソン病患者の排尿障害の治療方法は?(薬局) |
パーキンソン病の自律神経障害として排尿障害が60〜80%に起こるが,病期により症状は異なる。通常,初期には蓄尿障害(頻尿,切迫性尿失禁)が多く,後期には排出障害(排尿困難,尿閉)を来たすことがある。また,抗パーキンソン病薬の副作用により排出障害が起こることもある。薬物療法として,蓄尿障害には抗コリン薬のオキシブチニン,プロピベリン,フラボキサート等,排出障害にはα1遮断薬のウラピジル,タムスロシン,ナフトピジル等を用いる。いずれも副作用の発現に注意が必要で,抗コリン薬による尿閉,便秘や精神症状の誘発(認知症がある場合),α1遮断薬による起立性低血圧に注意する。 |
Q:胃摘出患者にフォイパン™(メシル酸カモスタット)を使うのはどんな時か?(病院) |
胃を全摘して食道と小腸をつなぐと,胆汁酸や膵液を含むアルカリ性十二指腸液が食道内に逆流する術後逆流性食道炎が起こり,胸やけや痛みが発生する。胃全摘術後や幽門側胃切除後ではアルカリ優位型となるが,残胃の酸分泌状況では混合型にもなる。酸優位型ではプロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカーが使用されるが,胃を全摘した人には効果がない。アルカリ優位型では蛋白分解酵素阻害薬のフオイパン™が使用され,局所麻酔薬や粘膜保護薬,制酸薬などが併用される。 |
Q: 特定疾患の潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)の違いは何か?(薬局) |
UC(Ulcerative Colitis)と CD(Crohn’s Disease)は原因不明の炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)で,若年で発症し,慢性の経過をたどる難病である。一時期だけをみた場合に鑑別困難な場合があるが,原則として全く異なる疾患と考えられる。
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Q: メラトニンとは何か?日本で販売されているのか?(医師) |
メラトニンは脳内の視床上部にある松果体から分泌される神経ホルモンで,トリプトファンからセロトニンを経由して合成される。メラトニン濃度は日中低く,夜間暗くなると高くなる日内リズムを形成するが,夜間でも強い光を当てると急激に低下する。現在,時差ボケや不眠症などの睡眠覚醒リズム障害等に対して臨床応用が試みられている。海外ではサプリメントとして発売されているが,日本では薬事法上,医薬品扱いのホルモン剤となるので,厚生労働省に医薬品として許可申請して承認を得なければ販売はできず,現在販売されていない。どうしても使用したい場合,海外より個人輸入して使用するしかないが,製品の純度は保障のかぎりではない。 |
〔安全性情報〕
Q:喘息患者にモービック™(メロキシカム)が処方されたが,問題ないか?(薬局) |
NSAIDはアラキドン酸代謝経路のシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することにより,プロスタグランジン(PG)合成を阻害し,解熱鎮痛消炎作用を示す。NSAIDのCOX阻害作用の強さ,COX-1およびCOX-2の選択性は異なるが,COX-1阻害により気管支拡張作用を有するプロスタグランジンE2の合成が抑制され,気管支収縮,血管収縮,血管透過性亢進,粘液分泌,鼻粘膜腫脹,気道浮腫や気道の好酸球浸潤をきたすので,COX-1阻害作用が強いものは喘息患者には禁忌である。選択的COX-2阻害薬のセレコキシブやCOX-2選択性が高いエトドラク,メロキシカムや塩基性NSAIDを用いるが,喘息発作を誘発することもあり,慎重に投与する。 |
Q:アジサイには毒性があり,食べてはいけないのか?(一般) |
飲食店などで料理の飾り用として提供されたアジサイの葉を喫食し,嘔吐,吐気,めまい,顔面紅潮等の症状を呈した食中毒事例が報告されている(毒性物質は特定されていない)。アジサイの花や葉は料理の装飾に使用せず,食しない。 |
Q: アミノ酸,ビタミン,ミネラル等を含むサプリメントは,ドーピングに該当するか?(医師) |
サプリメントは医薬品と異なり,製造・販売等の規制が厳しくなく,表示されていない禁止物質が混入されている商品もあり,注意が必要である。成分表示が信頼できるものであれば問題ないが,安全を保証することは難しく,使用はあくまでも自己責任となる。なお,日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の審査を経て認定されているスポーツドリンクやエネルギーアシスト系食品等があり,これらを利用すると安心である。JADA認定製品はホームページに掲載されている(http://www.anti-doping.or.jp/jada_qualified.php)。 |
〔保険・行政・その他〕
Q:ハイリスク薬の薬学的管理指導を実施するにあたり,ガイドラインはあるか?(薬局) |
日本薬剤師会は「薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドライン」(第1版)を策定し,特に安全管理が必要な「ハイリスク薬」について適切な服薬管理や服薬支援を行う際に必要な標準的業務を示している。本ガイドラインは、日本病院薬剤師会薬剤業務委員会による「ハイリスク薬の薬剤管理指導に関する業務ガイドライン(Ver.1)平成21年10月16日)」を参考に作成され,日本薬剤師会のホームページからダウンロードできる(http://nichiyaku.info/member/minfo09/pdf/high_risk_guideline.pdf)。 |
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