薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2004年7月)

〔医薬品一般〕

Q:アフリカに旅行する人がいるが,マラリアの予防に適応を有する医薬品は発売されているか? (薬局)

A:
塩酸メフロキン製剤のメファキン「エスエス」錠275(エスエス製薬)が薬価基準に収載されており,マラリア治療・予防に適応を有する。ただしマラリア予防に用いる場合には,保険適用はされない。

Q:ぎょう虫の駆虫薬コンバントリンTM(パモ酸ピランテル)を服用したら,何日後に効果判定をすればよいか?(薬局)

A:
1回の服用による駆虫率は90%と高率であるが,幼若虫には若干効果が劣るため,生き残った幼若虫が成熟する10日〜2週間後に2回目を服用する。服用後2〜3週間を経て,効果判定のための虫卵検査を2〜3日連続して行う。

Q: 尋常性乾癬の治療にシクロスポリン内服を使用することがあるのか?(薬局)

A:
乾癬に対しては,尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合),膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症,関節症性乾癬に保険適用がある。

Q:痛風で,痛み止めと尿酸値を下げる薬をもらったが,一緒に服用してよいのか?(一般)

A:
痛風発作は関節が赤く腫れて,激しい痛みが生じるが,通常1週間程度でおさまる。発作中は鎮痛薬を服用し,発作が完全におさまった後に尿酸値を下げる薬の服用を開始する。発作時に尿酸値を下げる薬を服用して血清尿酸値が急激に変動すると,関節内の尿酸塩結晶が関節液中に遊離して,痛風関節炎の増悪や長期化,あるいは二次発作が誘発されることがある。ただし尿酸値を下げる薬をすでに服用中の時に発作が起こったら,そのまま服用は継続する。

Q: パルス療法とは?(薬局)

A:
ある一定の休薬期間を置いて間欠的に薬剤を投与する方法で,間欠療法とも言う。抗悪性腫瘍薬,免疫抑制薬,爪白癬治療薬等で行われている。


Q: 骨粗鬆症の患者が日光浴をする場合,1日何時間くらい浴びればよいか?(薬局)

A:
食事から摂取されたビタミンD(プロビタミンD)は日光の紫外線の作用を受け活性型となり,小腸でのカルシウム吸収を促進する。夏は木陰で30分,冬は顔や手に日光を1時間程度浴びれば,1日に必要なビタミンDが作られる。(日本医師会ホームページより)


Q:総コレステロールからLDLコレステロールを求めるには?

A:
LDLコレステロールは一般的にFriedewaldの計算式により求める。最近では簡便な直接測定法も行われている。
(Friedewald式)
LDLコレステロール(mg/dL)
=総コレステロール(mg/dL)
−HDLコレステロール(mg/dL)
−トリグリセリド(mg/dL)×0.2
ただし,食事による影響を受けやすく,またトリグリセリド値が400mg/dL以上及びIII型高脂血症では使用できない。


Q: モートン病とはどのような病気か?(薬局)

A:
外側足底神経が第3・4中足骨骨頭の足底側皮下において趾神経に分岐する部位で肥厚し,第3・4趾(中指・薬指)の知覚障害と疼痛をきたす疾患である。趾神経は深横中足靱帯の下を通っており,この靭帯により圧迫されて絞扼性神経障害を生じたもので,30〜40歳代の女性に多く,ハイヒールや窮屈な靴を長時間履く人に起こりやすい。運動時に疼痛が出現する。軽症の場合は,圧迫を避けるような足底装具を用いるが,改善をみない場合は神経を圧迫している靭帯を切り離し,癒着している神経を切除する。


Q: スギナの採取時期,調製法は?(一般)

A:
5月〜7月に栄養茎(スギナ)を採取し,水洗後,日干しにする。利尿,解熱,鎮咳には,1日量5〜10gに300mLの水を加え,1/3量になるまで煎じて服用する。早春に生える胞子茎はツクシ。


〔副作用・安全性情報

Q:ワルファリンを服用している患者から,ウコンを使っても良いかと聞かれたが?(薬局)
A:
ウコンには血小板凝集抑制作用があり,ワルファリンとの併用は出血傾向の可能性があるので,併用は避ける。

Q:妊娠可能な婦人が風疹の予防接種を受ける場合の注意は?(薬局)

A:
ワクチン接種(ワクチンウイルス)により先天性風疹症候群が発生したという報告はないが,中絶した胎盤等からウイルス分離陽性例がある。したがって妊娠可能な婦人では,あらかじめ約1ヶ月間避妊した後,妊娠していない時期(生理期間中またはその直後がよい)にワクチン接種を行い,その後約2ヶ月間は避妊が必要とされている。誤って受胎3ヶ月以内にワクチンを接種した時のワクチンウイルスによる胎児への影響(先天性風疹症候群)は報告されていないが,その可能性は否定されていない。
(添付文書,(社)細菌製剤協会発行 予防接種に関するQ&A集 平成15年より)


Q:粉末消火剤の毒性は?(医師)

A:
粉末消火剤は,リン酸二水素アンモニウムを主成分とする商品と,炭酸水素ナトリウム・カリウムを主成分とする商品がある。一般に家庭に普及している消火剤は木材火災(A),油火災(B),電気火災(C)に適応した粉末ABC消火剤で,ラベルにABCの表示がされている。主成分はリン酸二水素アンモニウムで,食品添加物にも用いられているもので,毒性は極めて低い。経口の場合,多量摂取しない限り問題はないが,多量摂取時には嘔気,嘔吐,下痢,腹痛などがあり,皮膚への刺激もある。吸入時には,物理的な鼻,のどの粘膜刺激,眼への刺激がある。通常処置は不要で,症状があれば,対症療法を行う。

〔その他

Q:「季肋部」の読み方は,体のどの部位のことか?(薬局)

A:   
「きろくぶ」と読み,肋骨(あばら骨)の下の部分をさす。


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