薬事情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介(2005年2月)

〔医薬品一般〕

Q: 口腔カンジダ症の治療に,抗真菌薬のファンギゾンTMシロップでうがいする方法があるらしいが,どのような方法か?(薬局)

A:

ファンギゾンTMシロップ(成分:アムホテリシンB)5〜10mLを500mLの精製水で希釈して,1回約50mL,1日3〜4回うがいする(保険適応外使用)。

Q: 高尿酸血症・痛風の治療で,尿アルカリ化が必要なのはどうしてか?(薬局)

A:

高尿酸血症・痛風の場合,食事療法や尿アルカリ化薬(ウラリットTMU,ウラリットTM錠,炭酸水素ナトリウム)により尿のpHを約6〜7に保ち,さらに尿量が1日2,000mL以上になるように指導されている。尿酸は難溶性であり,酸性尿では溶けにくく,アルカリ尿では溶けやすくなるが,高尿酸血症・痛風患者では酸性尿(pHは5.5以下)を呈することが多いので,尿をアルカリにするように尿路管理が行われる。また腎障害や尿路結石を合併している患者の場合,尿酸排泄促進薬と尿アルカリ化薬を併用することは,腎障害や尿路結石の予防・治療として有効である。

Q:スポーツドリンクの糖分は,ブドウ糖やショ糖より果糖の方が良いのはなぜか?(薬局

A:

スポーツによりグリコーゲンが消耗されるので,糖分を補給する。果糖はブドウ糖やショ糖に比べて吸収が早く,インスリン反応性が低いので,低血糖が生じにくい。

Q: 白色ワセリンは皮膚保護剤として用いられるが,保湿効果はあるか?(薬局)

A:

白色ワセリンは油脂性基剤で,角層表面で油脂膜を形成して皮膚を保護する皮膚保護剤である。水分の蒸散を防ぐ機能はあるが,他の保湿剤(尿素,ヘパリン類似物質等)のような水分保持効果はなく,厳密には保湿剤とはいえない。

Q: 粉瘤とは?(薬局)

A:

粉瘤(アテローム)は皮膚良性腫瘍で,前額,被髪頭部,耳朶,頸部,背部等に好発する。多少弾力性のあるエンドウ大から鶏卵大までの隆起した嚢腫で,粥状をした内容物はケラチンと皮脂で悪臭がある。表面は常色であるが,皮膚にあいた穴から細菌感染すると,疼痛と発赤を生じる(炎症性粉瘤)。治療は抗生物質を投与して炎症を抑えた後,嚢腫を癒着している皮膚の部分を含めて摘出する。

〔安全性情報〕

Q:妊婦に使用できる緩下剤はどのようなものがあるか?(薬局)

A:

酸化マグネシウム,ピコスルファートナトリウム,ビサコジル,センナ,センノシドなどの緩下剤が用いられる。ただし,大量服用により子宮運動の亢進による流早産が起こる可能性があるので,注意が必要である。


Q: ロセフィンTM静注用でアレルギー反応が起こったことがある人に使用できる抗生物質は?(病院)

A:

ロセフィンTM静注用(成分:セフトリアキソンナトリウム)はセフェム系抗生物質である。したがってセフェム系,および同じβラクタム環を有するペニシリン系等は交差アレルギーを示す可能性があるので,避けた方が良い。


Q: 乳児がマッチ棒の先を食べたが,毒性は?(薬局)

A:

マッチの頭薬の主成分は塩素酸カリウムである。マッチ1本には10〜15mg含まれており,成人の経口推定致死量は5〜30gで,100本以上のマッチを摂取しなければ中毒は発症しないと考えられる。通常,症状はなく,処置は不要で,水を飲ませて様子を見る。大量摂取により,塩素酸カリウムの消化管刺激作用(嘔吐など),メトヘモグロビン血症,腎不全が現れた場合は,対症療法を行う。


〔調剤・製剤〕

Q: 耳鼻科で80%トリクロル酢酸液を使用するらしいが,調製方法は?(薬局)

A:

トリクロル酢酸は水溶液中でクロロホルムと二酸化炭素に分解し,さらに加水分解で塩酸と一酸化炭素を生じるが,この塩酸の腐食作用(蛋白変性作用)により,蛋白を凝固,沈澱させ,皮膚,粘膜に局所収斂作用を有する。耳鼻科領域では,アレルギー性鼻炎,肥厚性鼻炎に使用される(保険適応外使用)。調製方法は,トリクロル酢酸(試薬特級)8gを10mLのメスシリンダーに直接秤取し,注射用水を加え攪拌溶解した後,全量10mLとする。この液を20mLの褐色滅菌瓶に移す。30℃以下,遮光保存。皮膚腐食性が強いので取り扱いに注意する。

Q:尖圭コンジローマに用いる,20%ポドフィリンアルコール液の調製方法は?(薬局)

A:

ポドフィリンはポドフィルム樹脂のことで,ポドフィルム根茎をアルコールで抽出した液に水を加えて析出させた樹脂様物質である。現在,日本では医薬品としての市販はないので,試薬特級を用いて調製する(保険適応外使用)。調製方法は,95%エタノール60mLにポドフィリン20gを加えて十分に攪拌して溶解し,95%エタノールを加えて全量100mLとする。遮光保存。ポドフィリンは腐食作用が強いので,健常皮膚には付着しないように注意する。また,催奇形性が危惧されており,妊婦への使用は禁忌である。

〔行政・保険・その他〕

Q: 処方せんの保管期間は?(薬局)

A:

調剤済みとなった日から3年間。

Q: 鶏卵中のコレステロール含有量は?(薬局)

A:

可食部100g中,全卵(生)は420mg,全卵(ゆで)は430mg,卵黄(生,ゆで)は1,400mg,卵白(生,ゆで)は1mgのコレステロールを含有する。

Q: 尿中の食塩濃度を測定する試験紙があるらしいが,何があるか?(薬局)

A:

尿中の食塩濃度を測定する試験紙には,ウロペーパーTM‘栄研’ソルト,ソルトペーパーTM‘栄研’がある。


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