Q:コリン性蕁麻疹とは?(薬局) |
コリン性蕁麻疹は運動,入浴などの温熱負荷や精神的緊張などの発汗刺激により出現し,発症にはアセチルコリンの関与が考えられている。2〜3mmの小型の丘疹様の膨疹と膨疹周辺の紅斑を生じ,痒みよりもピリピリ,チクチクとした痛みを伴うのが特徴で,通常30分〜1時間で消失する。小児から若年成人に多いが,それ以降の年代にも生じる。治療は抗ヒスタミン薬や抗コリン薬を使用する。 |
Q:術後輸液療法にサードスペースという言葉が出てきたが,何か?(薬局) |
手術などによる侵襲と生体炎症反応により毛細血管の透過性亢進が生じ,毛細血管から細胞間質への体液移動が亢進し局所に浮腫が生じる。そこに貯留した細胞外液は機能せず,このような機能しない細胞外液が貯まる区分をサードスペースと呼ぶ。サードスペースの形成により循環血流量不足が生じることに加え,組織における物質交換の障害から臓器機能不全を来たす可能性があるため,相応する膠質液,血液製剤の投与による循環血流量の維持とともに,積極的な強制除水による早期の浮腫改善が重要となる。 |
Q:水痘ワクチンを帯状疱疹の予防に用いることがあるか?(薬局) |
海外で高齢者に水痘ワクチンを接種すると,免疫,特に細胞性免疫が増強されるという研究結果が報告され,日本でも同様の成績が研究グループによって報告されている。米国で行われた60歳以上の高齢者(38,546人)に対する無作為化二重盲検比較試験では,帯状疱疹発症患者957名(平均3.12年観察)のうち315人がワクチン接種群,642名がプラセボ群であった。また,107名が帯状疱疹後神経痛を発症し,うち27名がワクチン接種群,80名がプラセボ群であった。ワクチン接種により帯状疱疹の病的負担(disease burden)が61.1%(p<0.001),帯状疱疹後神経痛の発症率が66.5%(p<0.001),帯状疱疹の発症率が51.3%(p<0.001)減少し,高齢者へのワクチン接種は帯状疱疹の予防に顕著に有効であった |
Q:糖尿病患者の食事療法にGI値という言葉が出てきたが,何か?(薬局) |
グリセミックインデックス(Glycemic Index:糖価指数)をGI値と称する。1981年にトロント大学のJenkinsらが初めて食品の種類により食後血糖値の上昇に相違があることを検証し,食物が体内で糖に変換され,血液中に吸収されて血糖値を上げるまでの速度をグルコースと比較して数値化したもの。
GI値が高いほど血糖値上昇が急激でインスリン分泌も急激に促進されるので,低GI値の食品を摂取するほうが糖尿病の予防になると言われている。GI値は,食品に含まれる糖質量だけでなく,糖質の種類,食品の加工・調理方法,食品の組み合わせ,食物繊維の種類や量などに大きく影響を受ける。日常的に摂取している主な食品のGI値(%)は,米飯を茶碗で約1膳(包装米飯147g:基準糖質50g)を100とした場合,赤飯105,もち101,粥99,白パン92,すし飯67,うどん58,スパゲッティ56である。 |
〔調剤・製剤〕
Q:BBオイラックス軟膏の調製法は?(薬局) |
BB(Benzyl Benzoate)とは安息香酸ベンジルのことで,BBオイラックス軟膏は疥癬治療に用いられる薬剤である(保険適応外使用)。製法(30%)は,オイラックスTM軟膏(成分:クロタミトン)70gを乳鉢にとり,安息香酸ベンジル(試薬特級)30mLを少量ずつ加えて均一に練合する。 |
Q:慢性関節リウマチの患者で,アミロイドーシスの治療にDMSOが使用されるらしいが,調製法は?(薬局) |
アミロイドーシスは,細線維から構成される不溶性の特異な蛋白アミロイドが,各種組織に沈着し,様々な臓器に障害をもたらす慢性進行性難治性疾患である。慢性関節リウマチなどの慢性炎症性疾患に続発するアミロイドーシスでは,血清アミロイドA(Serum Amyloid A:SAA)に由来するアミロイドA蛋白が沈着する。DMSO(Dimethyl Sulfoxide,ジメチルスルフォキシド)は有機溶剤で,アミロイドを可溶化すると言われているが,詳しい機序は不明である。独特の臭いを有し,臨床効果も高くないため,現在ではあまり使用されていない(保険適応外使用)。経口の他,皮膚塗布,注腸,静注としても使用される。 処方例(内服シロップ):DMSO(試薬特級)2.5mLに,単シロップ,レモンエッセンスを適量加え,精製水で全量100mLとする。1日5〜15mLを3回に分けて服用。冷暗所保存。 |
〔食品・健康食品・その他〕
Q:キャッツクローとは何か?(薬局) |
キャッツクロー(Cat's claw) は南米ペルーアマゾン原産のアカネ科ウンカリア属の蔓性一年草のハーブで,葉の付け根の軸に猫の爪のようなトゲが突き出ていることから名付けられた。一般的には樹皮を煎じて飲む。インカ帝国の時代からの伝承薬であり,インディオたちは蔓を切った時に溢れ出てくる樹液を飲用して,消化器や免疫系の疾患に用いていた。成分は,アルカロイド(リンコフィリン,プテロポディン,イソプテロポディン,ウンカリンEなど),キノブ酸グルコシド,プロアントシアニジンなどである。1950年代より研究が開始され,70年代には抗腫瘍性物質が発見された。現在は「関節炎の痛みの緩和作用」についてのみ有効性が示唆されている。その他,「痛風やリウマチなどの鎮痛作用」,「免疫力を高める」,「がんに効く」,「血圧を下げる」,「脳梗塞や脳血栓など脳卒中の予防に効果的」などと言われているが,科学的な根拠はまだ明確でない。 |
Q:健康食品の成分で「ドロマイト」というのがあるらしいが,何か?(薬局) |
ドロマイト(Dolomite)は苦灰石または白雲石とも言い,サンゴなどが堆積した石灰石中のカルシウムが,海水中のマグネシウムに交代されて生成したと考えられている。主成分は炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムで,カルシウム,マグネシウムの補給のために健康食品に配合されている。 |
Q:健康食品の成分でS-アデノシルメチオニンとは何か?(薬局) |
S-アデノシルメチオニンは活性メチオニンとも呼ばれ,肝臓などに存在するメチオニン活性化酵素の作用によりメチオニンから合成される。主に肝臓や脳に多く,核酸,リン脂質,ホルモンなどの合成に利用される。俗に「肝機能を維持する」,「うつに良い」と言われており,うつや骨関節炎の症状緩和に有効と考えられている。また,急性あるいは慢性の肝疾患,医薬品やアルコールなどによる肝障害の症状緩和に有効性が示唆されている。安全性については,適切に用いる場合は恐らく安全と思われるが,妊娠中・授乳中については信頼できる充分なデータがないので過剰摂取は避ける。 |
Q:インスリンの注射針で33G(ゲージ)の痛くない針があるそうだが,何か?(薬局) |
テルモXより,世界一極細で先端0.2mm(33G)のインスリン注射用針「ナノパス33TM(販売名:マイクロテーパー針)」が2005年7月1日に発売された。一般に使われている注射針0.25mm(31G)と比べて,注射時の痛みが軽減される。また,従来の針は細くなるにつれて注入抵抗が高くなるが,ナノパス33TMは外径・内径がダブルテーパー(二重管)構造のため,薬液注入時の抵抗(注入しにくさ)は抑えられ,31Gと同等である。 |
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