Q:低ナトリウム血症治療薬で「バプリゾール(Vaprisol)」という薬はあるか?(薬局) |
アステラス製薬が創製した非ペプチド性バソプレシン受容体(V1A/V2)拮抗薬で,一般名はコニバプタン。ナトリウム排泄を伴わない排尿により体内の貯留水分を減少させ,血中ナトリウム濃度を改善するため,心不全,浮腫,低ナトリウム血症などへの効果が期待される。米国では2005年12月29日に,注射剤が申請適応症の一部である体液正常型の低ナトリウム血症の承認を得たが,日本での臨床試験は行われていない。 |
Q:医師から熱傷潰瘍の壊死組織を溶解する酵素製剤があるかと聞かれたが,何か?(薬局) |
外傷,熱傷,その他によるびらん,潰瘍などの壊死組織溶解酵素として,エレースTM(三共)(成分:フィブリノリジン・デオキシリボヌクレアーゼ),ブロメラインTM軟膏(ジェイドルフ)(成分:ブロメライン)などがある。 |
Q:びまん性汎細気管支炎に対しマクロライド系抗生物質が少量長期投与されるが,長期とはどれくらいか?(病院薬局) |
びまん性汎細気管支炎(DPB:Diffuse Panbronchiolitis)に対し,14員環マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン,クラリスロマイシン,ロキシスロマイシン)の少量長期投与が行われている(保険適応外使用)。通常は2〜3ヶ月以内に臨床効果が認められ,最低6ヶ月投与して効果を判定する。自覚症状および臨床検査所見(画像,肺機能等)が改善し,症状が安定し,重症度分類で4級および5級程度になれば,通算2年間で終了する。終了後に症状が再燃したら,再投与する。また広汎な気管支拡張や呼吸不全を伴う進行症例で有効な場合は,通算2年間に限定せずに継続投与する。
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Q:数種類の点眼薬が処方された場合,点眼する順序は?(薬局) |
原則として一番効果を期待する点眼薬を後に点眼するが,点眼間隔を5分以上あければどれが先でも良い。ただし,懸濁性点眼薬は水に溶けにくく吸収されにくいものもあるため,後から点眼する。ゲル化基剤を使用した持続性点眼薬(チモプトールTMEX等)は他の薬剤の吸収を阻害する可能性があるため後から点眼し,他の薬剤と10分以上間隔をあける。油性点眼薬や眼軟膏は水性点眼薬をはじくので最後に点眼する。 |
Q:呼吸器疾患の治療で,器械を用いて行うCPAP(シーパップ)というのは何か?(薬局) |
閉塞型の睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)の対症療法として,nasal CPAP(nasal Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的な持続陽圧呼吸療法)が行われている。睡眠中にプラスチックの鼻マスクから,一定の圧力を加えた空気を上気道に送り込み,睡眠中に出現する上気道の閉塞を防止し,いびきや無呼吸をなくす治療方法で,睡眠時の無呼吸をなくし,酸素不足を解消して睡眠の質を向上させることができる。また,睡眠時無呼吸症候群による高血圧症や心筋梗塞などの合併症を予防することができる。必要な圧力はポリソムノグラフィー検査(睡眠検査)により決定される。毎晩,装置を装着するのは面倒ではあるが,現段階では最も有効で安全な治療方法で,第一選択である。 |
Q:甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモンの関係は?(薬局) |
甲状腺機能は甲状腺刺激ホルモン(Thyroid Stimulating Hormone:TSH)と甲状腺ホルモン(Thyroxine:T4,Triiodothyronine:T3)のネガティブフィードバック機構により調節されている。TSHは視床下部からの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TSH Releasing Hormone:TRH)の刺激により合成・分泌が促進され,脳下垂体前葉より分泌されて甲状腺を刺激し,甲状腺ホルモン(T4,T3)の生産を調節する。血中の甲状腺ホルモン(T4,T3)が低下すればTSHは増加し,逆に血中の甲状腺ホルモン(T4,T3)多くなるとTSHは減少するため,甲状腺ホルモン(T4,T3)は一定量にコントロールされる。 |
Q:アディポネクチンとは何か?(薬局) |
脂肪細胞が分泌する生理活性物質(アディポサイトカイン)の一種である。アディポネクチンは筋肉・肝臓でのインスリン感受性増強,血管内皮細胞障害の修復作用を介して抗糖尿病作用や抗動脈硬化作用などを示す。肥満の程度が強く内臓脂肪の蓄積量が多いと分泌量が減少して血中濃度は低下し,逆に減量によって増加する。血中アディポネクチンの低下によりインスリン抵抗性が増大して糖尿病を発展させ,動脈硬化も同時に発症・進展する可能性がある。アディポネクチンはメタボリックシンドロームの内因性防御因子である。 |
Q:アレルギー検査で免疫グロブリンE(IgE)の検査にはどのような方法があるか?(薬局) |
IgEの測定法には,IgEに対する特異抗体を用いて血清中に存在するIgEの総量を測定するRIST法(Radioimmunosorbent Test)と,アレルギーの原因となる抗原(アレルゲン)に対する特異なIgE量を測定するRAST法(Radioallergosorbent Test)やMAST法(Multiple Antigen Simultaneous Test)等がある。アレルゲン特異的なIgE抗体は,肥満細胞や好塩基球に付着しており,アレルゲンが体内に侵入すると,抗原抗体反応が生じ,その結果ヒスタミンなどの化学伝達物質が細胞から放出され,J型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)が発症すると考えられる。アレルギー性疾患ではRIST法でIgE総量を測定してアレルギー体質の有無や症状の度合いを調べると共に,RAST法やMAST法等でアレルゲンの同定を行うことが重要である。 |
〔行政・保険・その他〕
Q:院外処方せんの内容について電話で医師に疑義照会して訂正があった場合,その取り扱いはどうするのか?(支払い基金) |
電話により処方せんを訂正し,調剤することは可能。ただし,当該事項(照会内容,回答内容,相手の氏名,照会日時等)を処方せんの「備考」欄または「処方」欄,かつ調剤録の備考に記入しておかなければならない。 |
Q:薬局開設の許可,薬局製造販売医薬品の販売業・製造販売業の許可を取得しているが,化粧品を製造販売してよいか?(薬局) |
化粧品を製造販売する場合は,化粧品製造販売業(薬事法第12条1項),化粧品製造業(薬事法第13条1項)の両方の許可が必要である。 |
Q:アントシアニンとは何か?(薬局) |
アントシアニンとは,赤,紫,青色などを呈する天然の色素で,ブルーベリー,ビルベリー,ブドウ,イチゴ,赤キャベツ,ナス,紫芋等の植物に含まれる,抗酸化作用を有するポリフェノールの一種である。目の網膜にあり視神経の働きを支えているロドプシンという色素の再合成を促進して,目の疲労を回復し,視力を向上させる。また活性酸素の生成抑制作用により,動脈硬化や血栓症の防止,虚血性心疾患,脳血管障害,がんの予防効果があると言われている。その他毛細血管の保護・強化作用,抗潰瘍・抗炎症作用等が示唆されている。 |
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