〔医薬品一般〕
Q:消毒用エタノールにイソプロパノールが添加された製品があるが,なぜか?(薬局) |
消毒用エタノールには酒税法が適用されるが,イソプロパノールを添加して変性エタノールにすると適用外となるので,安価になる。両者の効力は同等である。 |
Q:日本薬局方の製剤総則の中では,細粒は散剤の中に含まれるか?(薬局) |
含まれる。散剤は医薬品を粉末または微粒状に製したもので,粒度試験において18号(850μm)ふるいを全量通過し,30号(500μm)ふるいに残留するものは全量の5%以下である。散剤のうち200号(75μm)ふるいを通過するものが全量の10%以下のものを細粒と称する。 |
Q:ウエストナイル熱・脳炎とは?予防法は?(薬局) |
ウエストナイル熱・脳炎は,日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科フラビウイルス属に分類されるウエストナイルウイルスにより引き起こされる感染症で,感染症法上は四類感染症(直ちに医師の届出)になる。主にトリがウイルスを保有し,トリと蚊(イエカ,ヤブカ等)の間で感染環が形成・維持されている。ヒト−蚊−ヒト感染,ヒト−ヒト感染はない。アフリカ,西アジア,中東,ヨーロッパ,北米では一般的に見られるウイルスで,現在日本での国内感染はないが,米国から帰国したウエストナイル熱患者の輸入感染症例が1例報告されている(平成17年10月)。潜伏期間は2〜14日(通常2〜6日)で,感染しても約80%が不顕性感染である。発症した場合,症状は突然の発熱(39℃以上),頭痛,筋肉痛,消化器症状,発疹(胸部,背,上肢),リンパ節腫脹等で,通常1週間以内に回復するが,その後倦怠感が残ることもある。重症化(感染者の約1%)するとウエストナイル脳炎になり,激しい頭痛,意識障害,痙攣,麻痺等が現れる。高齢者に多く,重症患者の致死率は3〜15%である。予防法はワクチンはないため,蚊に刺されないようにする。外出時は長袖・長ズボンを着用し,露出部には蚊除け剤(ディート)を使用,室内では蚊取り線香や殺虫剤の適時使用,網戸の使用などが勧められる。 |
Q:ハチ刺傷によるアナフィラキシー反応を予防するための減感作療法はあるか?(薬局) |
ハチ毒抽出物を用いた減感作療法が一部の医療機関で行われている(保険適応外使用)。米国のハチ毒免疫療法ガイドラインによると,ハチアナフィラキシー既往の16歳以上,ハチ特異的IgE抗体陽性者(RASTスコアが2以上),職業の都合などでどうしても必要な患者に,入院状況下で行われる。 |
〔安全性情報等〕
Q:乾電池から漏れた液を子供がなめたが,毒性は?(行政) |
通常家庭で使用される筒型乾電池には,マンガン乾電池(正極:二酸化マンガン,負極:亜鉛,電解液:塩化アンモニウム,塩化亜鉛)と,アルカリ乾電池(正極:二酸化マンガン,負極:亜鉛,電解液:水酸化カリウム)がある。漏れた液をなめた場合は,マンガン乾電池では塩化アンモニウムによる悪心,嘔吐,頭痛,アシドーシス,塩化亜鉛による強酸類似の症状(口腔から咽頭の焼けるような痛み,悪心,嘔吐,胃痛,腹痛など),アルカリ乾電池ではアルカリによる口腔・咽頭,食道粘膜の腐食や潰瘍形成の可能性がある。冷たい牛乳または水を飲ませ,異常があれば受診する。眼や皮膚についた場合は,流水で洗浄した後も刺激が残れば受診する。 |
Q: 不安に適応を有し,緑内障患者に投与できる精神安定薬はあるか?(薬局) |
セロトニン作動性抗不安薬のクエン酸タンドスピロン(セディール™錠,大日本住友製薬)は,ベンゾジアゼピン系薬のような抗コリン作用は認められず,緑内障に禁忌ではない。 |
〔行政・保険・その他〕
Q:平成18年8月1日から,今まで1割負担だった高齢者で2割負担になった人がいるが,どのような人か?(薬局) |
住民税の課税所得(収入から控除等を引いた額)が145万円以上(月収28万円以上)の人が該当する。ただし,同じ世帯に属する70歳以上の人の合計収入が520万円未満(70歳以上が1人の場合は383万円未満)の場合は申請すると1割になる。さらに本年10月1日から,2割負担の人は3割負担となる。ただし本年8月から2年間は一般世帯と同額の自己負担限度額が適用される(健康保険・船員保険等においては本年9月から適用)。 |
Q:同一の患者に対し,院内投薬と院外処方せんによる投薬の双方を行うことは可能か?(薬局) |
医療機関において,同一患者に対して,同一の日に院内投薬と院外処方せんによる投薬の双方を行うことは原則として認められていない(平成18.3.6. 保医発第0306001号)。しかし,ふだん院内投薬を受けている患者が,別の日に院外処方せんの発行を希望した場合など,同一の患者でも日によって院内投薬を受けたり,院外処方せんの発行を受けたりすることは例外的に認められている。なお,同一の日であっても,万が一緊急やむを得えない事態が生じ,同一患者に院内投薬,院外処方せん発行の双方を行わざるを得なくなった場合は,医科レセプトに,その月日および理由を記載する。 |
Q: ハチ刺傷やマムシ咬傷時などに使用するポイズンリムーバーとは何か?(薬局) |
簡便な毒液吸引器具で,医療機関を受診するまでの応急処置として使用する。注射器のような形態で,器具付属のマウスピースを傷口にあてて,ピストンレバーを引き上げ,その吸引作用で毒液や毒針を抽出する。刺傷後約10分以内で,しかも大型のススメバチ類,アシナガバチ類であれば毒液が出てくる。数回にわたって根気よく吸引する。刺傷後時間を経過していたり,小型のハチ類では毒液量が少ないのであまり出てこない。「The Extractor」や「Insect poison remover」などの商品があり,アウトドア専門店などで販売されている。 |
Q:井戸水を検査したら大腸菌が陽性になった。対策は?(薬局) |
飲料水の水質基準では,大腸菌は検出されないこととなっている。大腸菌は普通,ヒトや動物の腸内に常在し,水中における存在はその水がヒトや動物のし尿により汚染されていることを意味するが,単に汚染されているということだけでなく,病原性大腸菌やコレラ菌,赤痢菌も含まれている可能性を示唆する。対策は生水は使用せず,煮沸した水を使用するか,あるいは次亜塩素酸ナトリウムなどで塩素消毒(遊離残留塩素濃度0.1mg/L以上)する方法が一般細菌,大腸菌ともに有効である。 |
Q:カラマツエキスの健康食品とは?また医薬品との相互作用はあるか?(薬局) |
A:
カラマツエキスの成分アラビノガラクタンはD-ガラクトースとL-アラビノースからなる水溶性高分子ポリサッカライドである。科学的データは不十分だが,免疫力を向上させる健康食品として利用されている。また水溶性食物繊維なので,腸内環境を整えて便通を良くするなどの作用もある。したがって免疫抑制作用を有する医薬品(副腎皮質ステロイド,シクロスポリン,タクロリムス,アザチオプリン等)の効果を減弱する可能性が示唆される。さらに医薬品と同時に摂取すると,吸着されて医薬品の吸収低下が起こることがあるので,同時摂取は避け,1時間以上の間隔をあけたほうが良い。 |
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