〔医薬品一般〕
Q: 慢性膵炎に消化酵素とH2ブロッカーが処方されているが,H2ブロッカーの使用目的は?(薬局) |
慢性膵炎の非代償期は膵内・外分泌機能が低下し,膵外分泌低下による消化酵素(リパーゼ等)の不足が起こり,消化吸収障害(膵性脂肪便等)が生じる。したがって常用量の3倍〜10倍の大量の消化酵素を補充する必要がある。消化酵素は酸性下で失活するため,十二指腸から小腸上部のpHを上げて消化酵素の効果を高めるために,H2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬を併用する(保険適応外使用)。 |
Q:アルドステロン拮抗薬のエプレレノンとは?(薬局) |
エプレレノン(eplerenone)はスピロノラクトン誘導体で,幅広い臓器保護作用を有し,欧米では高血圧や心不全に用いられている。従来のスピロノラクトンと異なり,アルドステロン(鉱質コルチコイド)受容体への親和性が極めて高く,プロゲステロンおよびアンドロゲン受容体への親和性が低いため,性腺系などの内分泌系への副作用(女性化乳房,勃起不全,月経異常等)が少ない。また糖質コルチコイド受容体への結合も弱く,糖質コルチコイド作用は認められない。日本では高血圧症への適応でファイザーより申請中(心不全の適応追加では第K/L相治験中)。 |
Q:ミオクローヌスとは?(薬局) |
突然の瞬間的な骨格筋収縮により起こる規則性のない不随意運動の一種で,身体の一部が急速にピクピクとけいれんを起こすことを言う。原因的には生理的ミオクローヌス(夜間,不安,吃逆など),本態性ミオクローヌス,症候性ミオクローヌス(てんかん,低酸素脳症,プリオン病,代謝性,感染症,薬剤性など)がある。 |
Q:RSウイルスとは?(薬局) |
RSV(Respiratory syncytial virus)はパラミクソウイルス科のRNAウイルスで,強い感染力を有し,温帯地方では冬季に,熱帯地方では雨季に,毎年ほぼ同程度の流行を繰り返す。終生免疫は獲得されず,生涯にわたり再感染を繰り返すが,症状は軽くなる傾向を示す。母体由来抗体の豊富な乳児期早期にも感染が成立するため,生後数週〜数ヶ月の期間に最も重い症状を引き起こす。感染経路は飛沫感染と接触感染で,特に濃厚接触による感染が多い。乳幼児は生後1歳までに半数以上が,2歳までにはほぼ100%が初感染を受ける。潜伏期は3〜5日で,急性呼吸器感染症を生じ,臨床病型は@上気道炎,A気管・気管支炎,B細気管支炎,C肺炎である。症状は発熱,鼻汁,咳嗽の上気道症状が2〜3日続き,通常は1〜2週間で軽快する。感染が下気道に及ぶと,咳嗽の増強,呼吸性喘鳴,多呼吸,陥没呼吸などの呼吸困難が出現し,新生児では無呼吸が見られることがある。治療は輸液,酸素投与,呼吸管理などの対症療法が基本で,気管支拡張薬の使用は一定の見解は得られていない。無呼吸の治療・予防にはキサンチン系薬が有効である。ワクチンは実用化されていないが,未熟児をはじめ慢性肺疾患を有するRSVハイリスク児に,抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体(パリビズマブ:シナジス™筋注用)が流行期に予防的に投与される。感染予防は手洗いの励行,マスクの着用,消毒は消毒用エタノール,次亜塩素酸ナトリウムが効果的である。 |
〔安全性情報等〕
Q:低用量経口避妊薬を勧められているが,子宮がんになりやすくなるのでは?(一般) |
A:
子宮頸がんについては5年未満の服用ではリスク増加はごくわずかであるが,服用期間によってはリスク増加の可能性がある。子宮体がんについてはリスクが低下する。また子宮体がんの死亡率も低下し,この効果は5年後も認められ,中止10年後まで持続する。 |
〔その他〕
Q:トランス脂肪酸とは?(薬局) |
A:
トランス脂肪酸は,構造中の二重結合の一部がトランス型になった不飽和脂肪酸である。トランス型とは水素原子が炭素=炭素の二重結合の反対側に位置する構造をさす。同じ側にある場合はシス型という(図)。マーガリンやショートニングなどの加工油脂やこれらを原料として製造される食品のほか,少量ではあるが反芻動物の肉や脂肪中などに含まれる。トランス脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ,HDLコレステロールを減少させる作用があると言われ,長期に過剰摂取すると動脈硬化などによる冠動脈心疾患のリスクを高めるとの報告がある。米国では食品に含有量表示が義務付けられ,さらにニューヨークでは飲食店での使用が1食あたり0.5g以下に義務付けとなり,実質的な禁止措置がとられている。米国に比べ,日本人の食生活ではトランス脂肪酸の摂取量は少なく,健康への影響は少ないと考えられている(1日の平均摂取量は日本人1.56g,米国人5.8g)。 |
飽和脂肪酸
(炭素−炭素が一重結合) |
不飽和脂肪酸
(炭素−炭素が二重結合) |
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(シス型)
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(トランス型)
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Q:果物のカリウム含量は?(薬局) |
A:
可食部の生100g中,アボカド720mg,いちご170mg,いちじく170mg,温州みかん150mg,柿(甘柿)170mg,キウイフルーツ290mg,グレープフルーツ140mg,日本梨140mg,パインアップル150mg,バナナ360mg,ぶどう130mg,プルーン220mg,メロン(温室)340mg,桃180mg,りんご110mg,レモン130mg。 |
Q:アルコールが飲めるかどうかを判定する方法は?(薬局) |
A:
絆創膏に消毒用アルコール(70%エタノール)を数滴垂らし,上腕の内側に貼る。7分間放置した後に剥がし,剥がした直後にその部分が赤くなる人はアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)が全く働かず,アルコールが全然飲めない人。10分後に赤くなる人はALDH2の働きが弱く,悪酔いする人。変わらない人はアルコールが強い人である。キット製品がASK(アルコール薬物問題全国市民協会:03-3249-2551)等から販売されている。 |
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