〔医薬品一般〕
Q:老人性白内障に用いられる漢方薬は何があるか?(薬局) |
初期の白内障におけるかすみ目や視力回復に漢方薬が用いられることがあるが,水晶体の混濁を消失させることはできない。腎虚に対する処方として,基本的に八味地黄丸,牛車腎気丸,六味丸が使われることが多い。 |
Q:透析患者の高リン血症に,リン吸収抑制薬を炭酸カルシウムから塩酸セベラマー(フォスブロック™,レナジェル™)に変更したいが,注意点は?(薬局) |
炭酸カルシウムから一度に塩酸セベラマーに変更すると,便秘症状の悪化や腹部膨満発症の原因となるため,塩酸セベラマーを少量ずつ追加し,血清リン値の低下とともに炭酸カルシウムを漸減していく。炭酸カルシウムの投与量が1日3g未満の場合は塩酸セベラマーを1回1g,炭酸カルシウムの投与量が1日3g以上の場合は塩酸セベラマーを1回2g,1日3回食直前から投与を開始する。 |
Q:甲状腺の検査でマイクロゾームテストとは?(薬局) |
抗甲状腺自己抗体のひとつである抗マイクロゾーム抗体を測定する検査である。抗マイクロゾーム抗体とは,甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)に対する抗体である。甲状腺ペルオキシダーゼは甲状腺ホルモン合成酵素で,主として濾胞上皮細胞のマイクロゾーム分画に存在するヘム蛋白で,甲状腺に摂取された無機ヨードイオンの酸化反応を触媒する作用を持つ。基準値は陰性(100倍未満)で,自己免疫疾患である橋本病やバセドウ病で陽性を示すが,膠原病やJ型糖尿病などの自己免疫疾患でも陽性となることがある。 |
〔安全性情報等〕
Q:インフルエンザ患者の解熱にボルタレン™(ジクロフェナクナトリウム)を投与して良いか?(薬局) |
インフルエンザ脳炎・脳症に関する臨床疫学調査で,ジクロフェナクナトリウムは他の解熱剤の使用に比べて有意に死亡率が高いことが報告され,また病理学的検討で脳や全身の血管の器質的・機能的障害が特徴的に見出されている。原因として,ジクロフェナクナトリウムは血管内皮修復に関与するシクロオキシゲナーゼを抑制する作用が強く,インフルエンザ脳炎・脳症で見られる血管障害の修復を遅らせることが推測され,インフルエンザの臨床経過中の脳炎・脳症には投与禁忌である。また,インフルエンザや水痘などのウイルス性疾患先行後に発症するライ症候群が,ジクロフェナクナトリウム投与後に発症した報告があり,小児のウイルス性疾患の患者には原則投与しないこととなっている。 |
Q:爪白癬でラミシール™錠(塩酸テルビナフィン)を服用している。医師が次回は検査をしましょうと言ったが,何の検査だろうか?(一般) |
ラミシール™錠の投与にあたり,重篤な副作用の肝障害や血液障害を未然に防止するために,投与前と投与開始後2ヶ月間は月1回,肝機能検査と血液検査を行い,その後も継続して投与する場合は定期的に検査を実施する(肝障害がある場合は頻回に行う)。肝障害の随伴症状は発疹,皮膚のかゆみ,発熱,悪心・嘔吐,食欲不振,けん怠感,眼や皮膚が黄色くなるなど,血液障害の随伴症状は咽頭炎,発熱,リンパ節腫脹,紫斑(赤いあざ),皮下出血などで,そのような症状が発現した場合は,すぐに医師や薬剤師に報告する。 |
Q:幼児用PL™顆粒は1歳未満の乳幼児には投与禁忌になったのか?(薬局) |
A:
本剤はフェノチアジン系抗ヒスタミン薬のメチレンジサリチル酸プロメタジンを含むが,海外で,2歳未満の乳幼児へのプロメタジン製剤の投与により致死的な呼吸抑制が起こったとの報告があり,2歳未満の乳幼児には投与禁忌となった(2006年6月)。他のプロメタジンを含有する薬剤(PL™顆粒,ピーエイ™錠,ヒベルナ™散・糖衣錠,ピレチア™細粒・錠等)も同様に,2歳未満の乳幼児には投与禁忌である。 |
Q:ドーピングの禁止薬物でも申請をすれば使えるものがあるらしいが,どういう物質が対象か?(薬局) |
A:
病気やけがの治療のため禁止物質あるいは禁止方法を使用する場合,事前に申請手続きを行って承認されれば,例外的にその治療を受けることができる。この制度を「治療目的使用の適用措置(TUE:Therapeutic Use Exemptions)」という。TUEは対象となる禁止物質・禁止方法の違いによって標準申請と略式申請がある。標準申請の対象は禁止物質および禁止方法一般で,審査されて妥当であれば許可される。略式申請の対象は気管支喘息に用いるβ2刺激薬(吸入のみ)のフォルモテロール,サルブタモール,サルメテロール,テルブタリン,糖質コルチコイドの局所使用(関節内,関節周囲,腱周囲,硬膜外,皮下注射および吸入。ただし,皮膚,耳,鼻,眼,口腔内,歯肉,肛門周囲の疾患に対する局所使用は禁止しない)で,書類を提出し,不備がなければ許可される。 |
Q:高齢者がシリカゲルを食べたが,毒性は?(薬局) |
A:
ほとんど吸収されず毒性は低い。成人経口推定致死量は15g/kg以上。シリカゲルは吸湿指示剤として塩化コバルトを含浸させた「シリカ青ゲル」が約5%混和されているが,「シリカ青ゲル」の大量服用時では,塩化コバルトによる中毒(消化管粘膜びらん,悪心・嘔吐,下痢,血便など)が起こる。通常は処置の必要はなく,水か牛乳を与える。 |
Q:降圧薬を服用している人が,特定保健用食品の胡麻麦茶を飲んでも良いか?(薬局) |
A:
胡麻麦茶には胡麻のタンパク質から生成したゴマペプチド(LVY)を含み,アンジオテンシン変換酵素の働きを阻害することで高めの血圧に対する効果が認められた特定保健用食品である。ヒト試験において軽症高血圧の者の飲用による有害事象は認められていないが,降圧薬を服用している人は血圧の変動に注意する。 |
〔行政・保険・その他〕
Q:船員の人に高血圧の薬が180日分処方されているが,投与可能か? |
A:
船員保険法により,長期航海に従事する船舶に乗り組む被保険者に投薬の必要がある場合は,療担規則にかかわらず,航海日程その他の事情を考慮して,必要最小限の範囲において,1回180日分を限度に投与が可能である(厚生省令第20号,平成10年3月16日)。 |
Q:処方せんで,「後発医薬品への変更可」の保険医署名の欄に医師の記名があれば,押印は必要ないか?(薬局) |
A:
医師の署名または記名・押印が必要である。記名のみで押印がない場合は,疑義照会して医師の意図を確認する必要がある。 |
Q:健康食品のサラシアとは何か?(薬局) |
A:
サラシアとは,インド,スリランカから東南アジアにかけて分布するニシキギ科のつる性植物で,インド伝承医学のアーユル・ヴェーダでは糖尿病や肥満の予防や治療に用いられている。サラシアに含まれるサラシノールはαグルコシダーゼ阻害作用があり,血糖上昇抑制作用があるとされる。 |
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