〔医薬品一般〕
Q: 禁煙治療のためにニコチンの貼付剤やガムを使用したが,うまくいかなかった。チャンティックスという新しい治療薬があるそうだが?(一般) |
チャンティックス™(Chantix,一般名:バレニクリン)は禁煙治療に用いる医療用医薬品で,選択的ニコチン性アセチルコリン受容体α4β2の部分作用薬である。ニコチン受容体に対する親和性はニコチンより強く,ニコチンの結合を阻害するが,作用は弱い。喫煙欲求およびニコチン離脱症状を緩和し,たとえ喫煙しても満足感を抑える作用も期待される。現在,ファイザーXが承認申請中である。 |
Q:動脈硬化性疾患診療ガイドラインの改訂で,診断基準が変更になったのか?(薬局) |
日本動脈硬化学会は2007年に「動脈硬化性疾患ガイドライン」を5年ぶりに改訂した。「高脂血症の診断基準」を「脂質異常の診断基準」として,診断基準から総コレステロール(220mg/dL以上)を除外し,原則としてLDLコレステロールで評価することとした。新しい脂質異常症の診断基準は,LDLコレステロール140mg/dL以上,HDLコレステロール40mg/dL未満,トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dL以上で,患者カテゴリーを一次予防(動脈硬化性疾患を起こさせないための治療)と二次予防(動脈硬化性疾患を再発させないための治療)に区別している。一次予防ではLDL-コレステロール値以外の危険因子として,加齢(男性≧45歳,女性≧55歳),喫煙,高血圧,糖尿病(耐糖能異常を含む),冠動脈疾患の家族歴,低HDL-コレステロール血症(<40mg/dL)があり,危険因子数に応じて,低,中,高リスクに層別化している。 |
Q:ミノマイシン™がリウマチ患者に処方されているが,どうしてか?(薬局) |
テトラサイクリン系の抗生物質ミノサイクリンは静菌作用の他に,多様な抗炎症作用と免疫抑制作用を有している。コラゲナーゼ活性抑制,活性酸素除去・産生抑制,末梢血リンパ球の増殖抑制,ホスホリパーゼA2活性抑制,TNF(腫瘍壊死因子)-α産生抑制作用などを有しており,慢性関節リウマチ(RA)の種々の炎症過程を阻害する効果が期待できる。1日200mg,2×朝夕食後(保険適応外使用)。 |
Q:血栓予防薬で私はワルファリン,妻はアスピリンを服用しているが,使い分けは?(一般) |
血栓形成において,動脈では血小板が,静脈では血液凝固因子が主な役割を果たしている。動脈血栓症(心筋梗塞,狭心症,脳梗塞等)は主として動脈硬化に合併して生じる。血流の速い動脈血管内で局所的に狭窄している部分では強いずり応力等が生じ,血小板が活性化され凝集が起こる。一方,静脈血栓症(心房細動,深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症,人工弁置換術後等)は主として安静等の血液のうっ滞時に生じ,うっ滞部分では血液凝固カスケードが働きフィブリン血栓が形成される。したがって動脈血栓症には抗血小板薬のアスピリン,静脈血栓症には抗凝固薬のワルファリン(血液凝固因子に作用)が主に用いられ,場合によっては併用することもある。 |
Q: 臨床検査値でコリンエステラーゼ(ChE)とは?(薬局) |
ChEはコリンエステルをコリンと有機酸に加水分解する酵素で,次の2種類が存在する。 |
〔安全性情報〕
Q:ザイロリック™(アロプリノール)と鉄剤との相互作用は?(薬局) |
A:
鉄は3価の鉄イオンとして肝臓で貯蔵されているが,キサンチンオキシダーゼにより2価の鉄イオンに還元されて血中に移行し,造血などに利用される。したがってキサンチンオキシダーゼ阻害薬のアロプリノールにより肝臓から鉄の血中移行が妨げられ,貯蔵鉄を増加して,鉄過剰症(ヘモジデロージス)となることが考えられる。動物実験では大量のアリプリノールで肝臓の鉄貯蔵量が増加した報告があるが,鉄代謝に影響を及ぼすにはキサンチンオキシダーゼの活性を極端に抑制(99%以上)することが必要である。アロプリノールによるキサンチンオキシダーゼ阻害の程度は50%を越すことはほとんどないことから,臨床的な影響はないと考えられる。 |
Q:高血圧症なので食塩の摂り過ぎに気をつけている。食品にはナトリウム量で表示されているものがあるが,食塩に換算するとどうなるか?(一般) |
A:
ナトリウム(Na)の量から食塩(NaCl)量に換算する方法は以下のとおり。 ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩(g)。 |
〔行政・保険〕
Q:医療用医薬品の非処方せん薬を販売する時の注意事項は?(薬局) |
A:
病院,診療所,薬局等へ販売する場合を除き,処方せんに基づく薬剤の交付を原則とするが,一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず,やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などは,必要な受診勧奨を行った上で,下記事項を守って販売する。 |
〔その他〕
Q:OSCEとは何か?(その他) |
A:
OSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験,通称オスキー)とは,医師および医学生の臨床能力(臨床実技)を客観的に評価する方法で,1975年英国で創始された。現在医歯薬系大学や研修医の教育に広く導入されている。OSCEではステーションと呼ばれるいくつかの小部屋が用意され,各ステーションで臨床能力を評価するための種々の課題が出題される。制限時間は5分間が多い。受験者は合図に従って,順に各ステーションを回り,課題に従って実技を行い,評価者はあらかじめ準備された評価表に従って評価する。医療面接では標準模擬患者(SP:Standardized Patient)を相手にインタビューを行う。 |
Q:ボケの実の利用法は?(薬局) |
A:
ボケはバラ科の落葉低木で,生薬名を木瓜(モッカ)(果実)という。成熟果実を2つまたは4つに縦割りか輪切りにして陰干し,異物の混入がないように,密閉容器に入れて乾燥した場所に保存する。強壮,鎮痙,鎮咳,利尿薬として,1日量4〜9gに水400mLを加え,半量になるまで煎じて1日3回に分けて服用する。また薬酒としても疲労回復に飲用される。果実が黄色く完熟する前の緑が少し残っている頃に採り,2〜3片に輪切りにする。輪切り800gに対して35度の焼酎1.8Lと氷砂糖かグラニュー糖150gを加えて漬け込む。冷暗所で約1年おいて1回量20mLを1日2回服用する。 |
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