〔医薬品一般〕
Q:骨粗鬆症の患者は逆流性食道炎になりやすいのか?(一般) |
骨粗鬆症の合併症に逆流性食道炎があり,60歳以上の女性で有病率が高い。骨粗鬆症による多発性の椎体骨折により背骨の変形が進んで円背・亀背になると,腹腔体積の減少(腹圧の上昇)が生じて食道裂孔ヘルニア(胃が食道の方へ上がる)を引き起こし,逆流性食道炎の発症・重症難治化を促進する。上腹部痛が現れ,さらに胸痛を惹起し,しばしば狭心痛と誤診される。また腰痛に対する非ステロイド性抗炎症薬の服用により胃食道粘膜障害をきたし,コルセットの着用で腹圧上昇を生じることも,逆流性食道炎の発症に関与する。また,背中から胸の変形にともない胸全体の動きが悪くなり肺活量等が低下し,呼吸機能が低下することも示唆されている。 |
Q:顔面痙攣(攣縮)に使用する薬剤は何があるか?(一般) |
顔面痙攣は中年以降の女性に多く,顔面の筋肉の一部が発作的に不随意に攣縮するもので,顔面神経が過剰に興奮するために生じる。最初は目のまわりから始まり,頬,額,口,顎などへ広がる。左右のどちらか一方に起こり,通常は片側顔面痙攣という。原因は,脳幹から生じて顔の運動をつかさどる顔面神経に,脳血管(主に動脈だが,静脈や繊維性癒着もある)が直接ぶつかり,神経を圧迫することによって起こることが明らかになっている。まれに小脳橋角部腫瘍,動脈瘤でも生じる。治療は麻酔薬による神経ブロック,A型ボツリヌス毒素の注入(効果は3〜4ヶ月),手術(脳血管の顔面神経への圧迫を手術によって取り除く方法)がある。内服薬は対症療法で,抗てんかん薬(クロナゼパム等)が使用されるが,効果がない場合がほとんどである。 |
Q:ボンゾール錠™(ダナゾール)を貧血の治療に使うことはあるか?(一般) |
テストステロン誘導体のダナゾールは蛋白同化ホルモンで,子宮内膜症や乳腺症の治療薬だが,造血機能を高めて赤血球や血小板を増やす作用があり,再生不良性貧血や血小板減少性紫斑病の治療に使うことがある。効果は一定ではなく,他剤が無効の場合に使用する(保険適応外使用)。ただし,肝障害等の発現頻度が高く,注意を要する。 |
Q: 口唇ヘルペスは他人に感染するか?(薬局) |
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因で起こり,人との接触によって感染する。単純ヘルペスウイルスは感染力が強く,直接的な接触のほかにウイルスがついたタオルやグラスなどを介しても感染する。ほとんどの人は幼児期に感染しており,感染しても無症状のことが多く,自然治癒する。一度感染すると治癒後もウイルスは消失せずに三叉神経節の神経細胞に潜んでいるが,唾液中にウイルスが出てきていることもある。以前にヘルペスにかかったことがなくヘルペスウイルスに免疫がない人や,免疫があっても抵抗力が落ちている人,アトピー性皮膚炎のように皮膚のバリア機能が低下している人は,発症している時期の患者に接触すると,ヘルペスウイルスに感染する確立が高くなる。 |
Q:口唇ヘルペスが再発したが,OCT薬の治療薬はあるか?(一般) |
抗ヘルペスウイルス薬アシクロビルのスイッチOTC薬で,口唇ヘルペス再発治療薬のアクチビア™軟膏(グラクソ・スミスクライン)とヘルペシア™軟膏(大正製薬)が市販されている。いずれもアシクロビルを5%含有し,使用は過去に医師の診断・治療を受けたものに限られる。 |
Q:水痘の時は風呂に入ってはいけないか?(薬局) |
発熱や新しい発疹の増加がなく,元気であれば,風呂に入って良い。水痘の発疹は汗や汚れでかゆみが増すので,風呂やシャワーでやさしく全身を洗うと,かゆみが軽減し,また化膿することも少なくなる。ただし,水ぶくれを破らないように注意する。 |
Q: 水虫の薬は,悪くない所にも塗らなければならないか?(一般) |
一見正常に見える部分にも菌が潜んでいる可能性がある。感染を防ぐため,患部の周辺にも広範囲にまんべんなく塗り,症状が消失しても一定期間塗る必要がある。 |
〔安全性情報等〕
Q:点眼薬を寝る前に点眼しても良いか?(薬局) |
A:
就寝時は涙液の流れが停滞するため,点眼薬の結膜嚢内や角膜表面の滞留時間が延長する。したがって刺激性の強い硫酸亜鉛点眼薬の就寝直前の点眼は避けるように指導する。しかし,就寝する5〜10分前に点眼すれば特に気にする必要はない。 |
Q:グリセリン浣腸液を誤飲した場合の処置は?(薬局) |
A:
グリセリン浣腸液はグリセリン50%液である。グリセリンのヒト経口最小中毒量は1,428mg/kg,マウス経口LD50は32.2g/kg,ラット経口LD50は27.5g/kgである。経口剤としての常用量は濃グリセリン50%液で1回1.5g/kg,1日1〜2回。症状として,嘔気,嘔吐,下痢,口渇,発熱がみられ,下痢は24〜48時間以内に発現する。常用量での副作用は,上記に加えて頭痛,めまい,傾眠,意識障害,大量では血糖値の上昇がみられる。少量誤飲の場合,処置は不要。大量の場合は,催吐または胃洗浄,吸着剤の投与。緩下作用があるので,下剤は投与しない。特異的治療法はなく,対症療法。 |
〔行政・保険〕
Q:子宮がん手術後等の四肢のリンパ浮腫に用いる弾性着衣は保険適用か?(薬局) |
A:
腋窩,骨盤内の広範なリンパ節郭清術を伴う悪性腫瘍の術後に発生する四肢のリンパ浮腫の重篤化予防を目的とした弾性着衣(弾性ストッキング・スリーブ・グローブ)および弾性包帯(医師から弾性着衣を使用できない指示がある場合のみ)の購入費用については,2008年4月1日から療養費として支給されることとなった。後日支給になるので,支給申請書に医師の弾性着衣等の装着指示書と購入時の領収書,または費用の額を証する書類を添付して保険者に申請する。 |
〔その他〕
Q:すき焼きの時に,肉とコンニャクを隣同士にしてはいけないのはなぜか?(一般) |
A:
肉の蛋白質は熱により凝固するが,コンニャクに含まれるカルシウム分(凝固剤として水酸化カルシウムを使用)はこの熱凝固を早めて肉を固くする。コンニャクは下茹でするとカルシウム分が溶け出すので,あらかじめコンニャクに熱を通した後,肉とは離して煮ると良い。 |
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