〔医薬品一般〕
Q: 顎関節症でテルネリン™という薬をもらったが,どのような効果があるか?(一般) |
顎関節症は顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節雑音,開口障害,顎運動異常を主症状とする慢性疾患で,障害の部位によりJ型(咀嚼筋障害),K型(関節包・靭帯障害),L型(関節円板障害),M型(変形性顎関節症),N型(その他)がある。J型の咀嚼筋障害は頸肩腕症候群に類似した症状(頸部から肩を含む上肢にかけての痛み,しびれ,だるさなど)を示すので,関節周囲の筋組織の緊張を緩和し痛みを軽減する目的で中枢性筋弛緩薬のテルネリン™(チザニジン)等が投与される(保険適応外使用)。 |
Q:水痘の予防にゾビラックス™(アシクロビル)を使用することはあるか?(薬局) |
病棟内などで水痘患者が発生した場合などは,既往歴のない接触者の抗体価を測定し,接触後72時間以内であれば水痘ワクチンの緊急接種により発症予防あるいは軽症化が期待できる。接触後96時間以内であれば,水痘-帯状疱疹免疫グロブリンVZIG(日本で市販なし)を投与する(100 mg/kg,1回)。 両予防策が共に不可能な症例には,アシクロビル投与による発症予防の可能性が考慮される〔20mg/kg×4,発生(接触)してから7〜9日目より連日5〜7日間〕。アシクロビルはウイルス潜伏期間(2週間)の後半の第2次ウイルス血症を生じている時に投与すると発生を予防できる。幼稚園や病院の外来等で偶然の接触があり,保護者あるいは本人に発症予防の希望があった場合もこれに準ずる(保険適応外使用)。 |
Q:がんの治療に高濃度のビタミンCを点滴注射する方法があるか?(卸) |
がんの代替医療として,高濃度ビタミンCの点滴療法(1回50〜100g,週2〜3回)を自費診療で行っている医療機関がある(防腐剤無添加の外国製点滴用ビタミンCを使用)。2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立がんセンター(NCI), 食品医薬品局(FDA)の科学者らがアメリカ科学アカデミー紀要に高濃度ビタミンC点滴療法のがんに対する有用性を発表し,以後,アメリカでは研究が続けられている。作用機序は,ビタミンCの抗酸化作用により発生する過酸化水素が,選択的にがん細胞を死滅させるというものである。正常の細胞にはG6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)という過酸化水素を中和する酵素があるため無害だが,G6PD欠損症の人には溶血を起こすので禁忌である。 |
Q: 利水作用を有する生薬や方剤には何があるか?(薬局) |
利水薬は白朮,蒼朮,猪苓,沢瀉,茯苓,防己,薏苡仁,黄耆,麻黄など,利水剤は五苓散,苓桂朮甘湯,薏苡仁湯,猪苓湯,防己黄耆湯,柴苓湯,胃苓湯,木防己湯などがあり,浮腫・嘔吐など水毒が原因と思われる症状を取り除く作用がある。 |
Q:口唇ヘルペスで抗ウイルス薬の軟膏を使っているが,かさぶたができた。いつまで塗るのか?(一般) |
水疱が破れて痂皮(かさぶた)が形成され,患部が乾燥したら軟膏を塗る必要はない。水疱内にウイルス(単純ヘルペスウイルス1型 HSV-1)は生存しているが,かさぶたは回復期の状態で,1〜2週間で自然治癒する。 |
Q:タケプロン™OD錠30mgは半錠にできるか?(薬局) |
割線がなく,また主薬を含む腸溶性細粒が均一に混ざっていないので,半錠にしても正確に半量にはならない。 |
〔安全性情報〕
Q: 塩分摂取を制限している人(1日5g)に炭酸水素ナトリウムが1日2g処方されているが,問題はないか?(薬局) |
炭酸水素ナトリウム1g中のNaは0.274gである。1日2gを服用するとNaは0.548gで,これを食塩に換算すると1.39gに相当するので,注意が必要である。 |
Q:尿が緑色に着色する薬物は何があるか?(病院) |
A:
アミトリプチリン,インドメタシン,シメチジン,トラニラスト,トリアムテレン,フルタミド,プロポフォール,ミトキサントロン,ミノサイクリン等がある。 |
Q:インフルエンザワクチンを接種後,注射部位は揉まなければならないか?(薬局) |
A:
通常,筋肉注射の場合は,薬液の吸収を促進して効果を早めるため,また局所の疼痛・発赤・硬結を減少させるために注射部位を揉むが,インフルエンザワクチン接種(皮下注射)の場合,免疫を成立させるために吸収を急がせる必要はないので,揉む必要はない。揉むとかえって腫れることがあり,注射部位を押さえるのみで十分である。 |
Q:殺虫剤フェニトロチオンの中毒症状は?(薬局) |
A:
フェニトロチオンは有機リン系で,コリンエステラーゼと容易に結合してアセチルコリン分解能を低下させるため,アセチルコリンが体内に蓄積し,副交感神経節前・節後線維,交感神経節前線維,神経節接合部,中枢神経が刺激されて種々の中毒症状を現す。軽症では悪心,嘔吐,腹痛,下痢,唾液分泌過多,多汗,頭痛,めまい,軽度の縮瞳,頻脈など,中等症は軽症の症状に加えて,縮瞳,興奮,錯乱,筋の線維性攣縮,歩行困難,視力減弱,徐脈など,重症では意識混濁,尿失禁,対光反射消失,全身痙攣,高度(ピンポイント)の縮瞳,血圧上昇,呼吸困難,肺水腫,ショックなどが現れる。 |
〔保険・行政〕
Q:毒薬を処方せんにより投与した場合,麻薬と同様に帳簿記載が必要か?(薬局) |
A:
毒薬の使用状況(使用患者名,使用量の確認)を把握し,麻薬管理簿に準じた毒薬管理簿を作成・記帳して管理し,帳簿と在庫現品の間で齟齬がないよう定期的に点検するなどの適正な保管管理が望まれる。 |
Q:2年に1度行われる薬剤師の届出を提出しない場合の罰則があるか?(薬局) |
A:
薬剤師法第9条(届出)により,薬剤師は,厚生労働省令で定める2年ごとの年の12月31日現在における氏名,住所その他厚生労働省令で定める事項を,当該年の翌年1月15日までに,その住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届けなければならないと定められている。違反した場合は50万円以下の罰金が科せられる。 |
〔その他〕
Q:酒類のアルコール含有量の表記には「度」と「%」があるが,違いはあるか?(薬局) |
A:
アルコール(エタノール)は無色透明の揮発性液体で,酒類のアルコール表示は多くの場合「度」で表記される。これは15℃の時のアルコール容量%(v/v%)を意味する。 |
Q:シャンピニオンエキスとは何か?(薬局) |
A:
シャンピニオン(別名:セイヨウマツタケ,ツクリタケ)はマッシュルームと呼ばれ,食用として広く栽培されている。シャンピニオンエキスはマッシュルームから抽出したエキスで,腸内細菌叢を整えることにより,俗に「体臭や口臭を改善する」「慢性腎不全の進行を抑制する」といわれ,種々のサプリメントや特別用途食品(そしゃく・えん下困難者用食品,高齢者用食品)が販売されているが,ヒトでの有効性やサプリメントとして使用した場合の安全性については信頼できるデータはない。 |
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