〔医薬品一般〕
Q: インスリン製剤の保管方法で注意することは何か?(薬局) |
インスリンを長期保管する場合は温度が2〜8℃,光が当たらない場所とし,凍結は避ける。凍結した場合,解凍してもインスリンの性状が変化しているので使用できない。未使用のインスリンカートリッジや予備の注入器は冷蔵庫の中に保管する(ただし,冷気の吹き出し口から離れた所)。使用開始後の注入器は,使い切るまでの期間程度であれば極端な温度になる場所を避け常温で保管する(冷蔵庫から出し入れすると結露して故障することがある)。バイアルを使う場合は,使いかけの瓶はなるべく冷蔵庫に保管する。夏の窓を締め切った車の中や,南向きの部屋などは高温となるので避ける。旅行の際は,飛行機の貨物室や車のトランクは避ける(室温で,直射日光を避ければ可。温度変化が大きいとインスリンの品質が劣化する)。また,針をつけたまま保管すると,温度変化に伴ってインスリン液が膨張と収縮を繰り返しカートリッジ内に気泡が混入するので,注射針ははずして保管する。 |
Q:フランドル™テープ(硝酸イソソルビド)の貼付部位は胸部,上腹部,背部となっているが,大腿部に貼付した時の吸収は?(薬局) |
健康成人男子4名における胸部,背部,大腿部の貼付試験,および虚血性心疾患等の入院患者13名における胸部,腹部,背部,大腿部の貼付試験では,硝酸イソソルビドの血中濃度推移に有意差は認められなかった。 |
Q:舌がつるつるして赤くなった。ビタミB12の摂取不足と言われたが,ビタミンB12を多く含む食品には何があるか?(一般) |
ビタミンB12あるいは葉酸不足による悪性貧血(巨赤芽球性貧血)では,ハンター舌炎がみられることがある。舌にびらんと灼熱痛があり,舌乳頭が萎縮し,赤く表面全体が平らになり光沢がみられ,味覚障害を起こすこともある。ビタミンB12は細菌や藻類などの微生物だけしか合成できないので,植物性食品にはほとんど含まれず,動物性食品の魚貝や肉(内臓)に多く含まれる。可食部100g中の含有量の多い食品には,しじみ:62.4μg,あかがい59.2μg,すじこ:53.9μg,牛レバー:52.8μg,あさり:52.4μg,ほっきがい:47.5μg,いくら:47.3μg,鶏レバー:44.4μg,あまのり:77.6μgなどがある。ビタミンB12不足による悪性貧血の治療は,通常はビタミンB12の筋肉注射を行う。 |
Q: 海外では子宮頸がんのワクチンがあるらしいが,がんに予防接種ができるのか?(一般) |
子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあり,子宮頸がんは性感染症の1つで,ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma Virus)が発がんに大きく関与している。成人女性の半数以上はHPVに感染し,通常ウイルスは自然消失するが,約10%が消えずに持続感染し,その一部ががん化する。HPVは100種類以上の型が見つかっており,子宮頸がんの原因となるのは,HPV16,18,31,33,51型などがあり,特に20〜30代にはHPV16,18型が約70%を占め,浸潤がんへ進展しやすい。現在国内では,グラクソ・スミスクライン社がHPV16,18型の2価のHPVワクチン(海外の商品名:Cervarix™)と,万有製薬がHPV16,18型に加え,尖圭コンジローマにも関連する6,11型を加えた4価のHPVワクチン(海外の商品名:Gardasil™)の2つが申請中である。子宮頸がんの予防にはワクチン接種と検診が重要である。 |
Q:Hibワクチンを子どもに接種しようと思うが,狂牛病の感染が心配?(一般) |
Hibワクチン(アクトヒブ™)はウシ成分(フランス産ウシの肝臓および肺由来成分,ヨーロッパ産ウシの乳由来成分,米国産ウシの血液および心臓由来成分)を製造工程に使用しているが,本剤接種による狂牛病(伝達性海綿状脳症:TSE)伝播のリスクは理論的に極めて低いものと考えられる。また,諸外国で100ヶ国以上,発売開始から14年間にわたり約1億5,000万回接種されているが,本剤の接種によるTSE感染の報告はない。 |
〔安全性情報〕
Q: 意識レベルの分類にはどのようなものがあるか?(一般) |
中枢神経の障害の程度を全体として評価できるのは意識状態で,その状態が刻々と変化する場合,数量的に決める評価基準が必要でこれを意識レベルという。代表的なものには,日本で使われているJapan coma scale(JCS)と,欧米で使われているGlasgow coma scale(GCS)がある。GCSはE(開眼)+V(発音)+M(運動機能)の3つについて点数化して評価し,正常は4+5+6=15,深昏睡は1+1+1=3である。JCSは,覚醒の程度によりJ,K,Lの3段階に分け,さらに各群を細かく3つに分けた9段階の意識状態に分類して(3-3-9度方式),不穏(R),糞尿失禁(I),無言無動(A)などを付記する。数値が大きいほど意識障害が重いことを示す。 |
Q: ピル(経口避妊薬)を服用中だが,抗生物質との飲み合わせは大丈夫か?(一般) |
抗生物質により腸内細菌叢が変化して,細菌叢によるエストロゲン抱合体の加水分解が阻害され,結果として腸肝循環による腸管からの再吸収が低下し,血中エストロゲン濃度が低下してピルの作用が減弱する可能性が示唆されている。抗生物質を併用中および中止後1週間は他の避妊方法との併用が勧められる。添付文書にはペニシリン系およびテトラサイクリン系抗生物質との併用注意の記載があるが,広域スペクトラム抗生物質には同様の注意が必要である。 |
Q:吸入ステロイド薬により声が枯れるのはどうしてか?(薬局) |
A:
吸入ステロイド薬による声枯れ( |
Q:医薬品による横紋筋融解症は服用後何日くらいして起こるか?(薬局) |
A:
医薬品の種類によるが,抗生物質などは投与初期の数日に集中し,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン系薬)では,数週あるいは数ヶ月以降に発症することが多い。数年投与していても併用薬を変更した場合に発症することがある。筋肉痛や手足のしびれ,力が入らない,こわばり,全身倦怠感,赤褐色尿,クレアチンホスホキナーゼ(CK)上昇などに注意する。 |
〔その他〕
Q:唾液の成分は何か?(薬局) |
A:
唾液の成分は,水分が99.5%で,残りは無機成分(Na+,K+,Ca2+,Mg2+の塩化物,リン酸塩等)や有機成分(アミラーゼ,ムチン,プロリンリッチプロテイン,リゾチーム,ラクトペルオキシダーゼ,ラクトフェリン,ヒスタチン,分泌型 IgA,シスタチンなど)が含まれ,消化作用,保護作用,抗菌・抗ウイルス作用,抗炎症作用,免疫作用など様々な生理機能を発揮する。 |
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