質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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間質性膀胱炎の治療に、アミトリプチリンは使用されるか?(一般)
疾病・治療法 |
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年月 | 2023年6月 |
間質性膀胱炎は、頑固な頻尿、トイレに行ってもすぐにまた行きたくなる、尿を我慢すると下腹部が痛いなどの極めて不快な症状をきたす慢性的な疾患で、症状は過活動膀胱や細菌感染で起こる急性膀胱炎とよく似ているが、別の疾患である。アミトリプチリンは間質性膀胱炎の保険適応を有さないが、「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドライン 2019」における評価は次のようになっている。
・推奨グレードB(治療を行うよう勧められる)
・ある程度の有効性の根拠があり(レベル2※)、重大な副作用は少ない
※レベル2:1つのレベルI(大規模のRCT(無作為化比較対照試験)で結果が明らかなもの)の研究か、複数のレベルII(小規模のRCTで結果が明らかなもの)の研究に裏付けられる
アミトリプチリンは、以下の薬理作用により、間質性膀胱炎に対する効果が期待されている。
①セロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを抑え、中枢神経の痛み刺激の伝達を抑制
②ヒスタミンH1受容体をブロックし、肥満細胞の活動を抑制
③抗コリン作用により膀胱の収縮を抑制
海外の報告では、アミトリプチリンを10~75mg/日までの投与量で3ヶ月間治療し、50mg/日以上投与群ではプラセボ群に比べ治療効果に有意差が認められた(66%vs47%、p=0.01)。副作用は、全身倦怠感、口渇、便秘、めまいなどがあげられるが、問題となる副作用は少なかった。