質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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抗インフルエンザウイルス薬のゾフルーザで出血が起こることがあるか?(一般)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2024年12月 |
ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)の国内製造販売後の使用成績調査および自発報告において本剤との因果関係が否定できない血便、鼻出血、血尿等の出血関連症例が集積したことから、2019年3月、添付文書の重大な副作用の項に「出血(頻度不明)」が追記された。血便、鼻出血、血尿等の出血があらわれた場合には医師に連絡することが注意喚起されている。また、医薬品リスク管理計画書(RMP)においても適正使用に関する理解を促すため、重要な特定されたリスクとして「出血」が記載されている。
(発現頻度)
承認時までの臨床試験において、成人および 12 歳以上の小児患者を対象とした第2相および第3相臨床試験では、出血関連の有害事象として鼻出血、咽頭出血、血尿、尿中血陽性が認められ、発現率は本剤群0.9%(8/910例)、プラセボ群0.7%(3/409例)であった。12歳未満の小児患者を対象とした非対照オープンラベル試験では、出血関連の有害事象として鼻出血と尿中血陽性が認められ、発現率は1.9%(2/107例)であった。
(出血発現までの期間)
国内症例38例のうち、0日5例、1日14例、2日3例、4日1例、6日1例、13日1例、不明13例で、投与から数時間で発現することもあれば、数日後に発現することもあり注意が必要である。
(発現機序)
不明だが、ラットでは本剤投与によりプロトロンビン時間および活性化部分トロンボプラスチン時間の延長が認められ、ビタミンKとの併用時には認められなかったとの報告がある。ただし、ビタミンKの必要量はヒトと比較して多量であり、ヒトへの外挿性は不明である。
(症例:メレナ)
22歳女性。40mg 1回投与。投与終了1日後、夜間より30分毎の下痢あり。しばらくして血便が混じってきた(下痢、下血が発現)。投与終了2日後に受診し血便を確認した。便検査でO型抗原、赤痢菌、サルモネラ菌、ビブリオ、キャンピロバクターはいずれも(-)。触診により左腹部に圧痛あり。投与終了6日後回復を確認した(下痢、下血は回復)。
(症例:口腔内出血)
70代女性。40mg 1回投与。投与開始日(投与終了日)40mg/日を服用、約3時間後から口腔内出血が出現し来院。口腔内粘膜全体より出血があり、止血剤としてカルバゾクロムスルホン酸ナトリウム、トラネキサム酸を1日分投与した。投与終了翌日の受診時には口腔内出血は改善(軽快)。