公益社団法人福岡県薬剤師会

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質疑応答

質疑・応答をご覧になる方へ


福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。

回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。

県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。


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小児用のシロップ剤の服用は虫歯に関係するか?(薬局)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦
年月 2013年5月 

虫歯(齲蝕)は、歯垢中のグラム陰性通性嫌気性菌 Streptococus mutans 等の細菌が糖を代謝してバイオフィルム(粘着性の高い不溶性グルカン)を形成し、有機酸を産生させることにより、歯の表面のエナメル質を溶かす(脱灰)ため発症する。歯垢pHが臨界pH(pH5.5)以下になるとエナメル質は溶け始める。通常、歯垢pHは食事のたびに臨界pH以下に低下し、その後食間時に中性付近に回復すると、唾液中等のリン酸およびカルシウムが再び歯の表面に沈着して再石灰化が起こる。しかし、食間時に発酵性の糖を含む間食を頻繁に摂取すると、歯垢pHが臨界pH以下に低下する頻度と時間が増加して歯の再石灰化が追いつかなくなり、齲蝕の発生率が高くなる。バイオフィルムの付着力は強力で、うがいだけでは除去できず、齲蝕予防にはブラッシング等の物理的剥離が必要である。発酵性糖の白糖(ショ糖、スクロース)を高濃度含有するシロップ剤について検討した結果、歯垢pHは4.5~5.2まで低下し、酸産生性が高かった報告がある。一方、還元麦芽糖やD-マンニトール、キシリトール等の非発酵性糖はバイオフィルムの形成に関与しておらず、酸産生性は極めて低く齲蝕の原因とはならない。
近年、海外では高濃度の白糖を含むシロップ剤を服用した小児に、著しい齲蝕や歯肉炎、歯周病の増加が報告され、非発酵性糖への切り替え等が行われているが、現在日本のシロップ剤の多くは、甘味料として白糖を含有しており、齲蝕の発生には注意が必要である。

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