質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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オピオイド製剤による嘔気・嘔吐に対する薬物療法は?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2013年12月 |
オピオイド製剤による嘔気・嘔吐は、使用者の約60%に生じる。投与初期や増量時に起こることが多く、程度は個人差があるが、投与量が適正な場合、連用により耐性が生じ、通常1~2週間で症状は消失していく。嘔気・嘔吐により、服薬アドヒアランスを損なうことにもつながるため、発現機序に応じた積極的な対策が必要である。第一選択薬で効果不十分な場合は、第一選択薬の機序の異なる薬剤を2種類併用するか第二選択薬〔非定型抗精神病薬(オランザピン、リスペリドン等)、フェノチアジン系抗精神病薬(クロルプロマジン等)、セロトニン拮抗薬〕のいずれかを使用する。抗ドパミン作用のある制吐剤は、薬剤性錐体外路症状の原因となるため、漫然と投与せず、嘔気・嘔吐がなければ減量・中止する。
嘔気・嘔吐の発現機序 |
第一選択薬 |
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第四脳室にある化学受容器引金帯(CTZ)に発現しているμ受容体を直接刺激することによりドパミンが遊離され、ドパミンD2受容体が活性化し、嘔吐中枢(VC)を刺激する。Cmax時に起こる。 |
抗ドパミン薬 ハロペリドール、プロクロルペラジン等 |
前庭器に発現しているμ受容体を刺激することによりヒスタミンが遊離され、CTZおよびVCを刺激する。体動時に、ふらつき感を伴う乗り物酔いに類似した嘔気・嘔吐が起こる。 |
抗ヒスタミン薬 ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン配合剤、クロルフェニラミン、ヒドロキシジン等 |
消化管蠕動運動が抑制され、胃内容物の停留により、求心性神経を介してCTZおよびVCを刺激する。食後に起こる。 |
消化管蠕動亢進薬 メトクロプラミド、ドンペリドン等 |