質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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洞性徐脈性不整脈の薬物治療には何を使用するか?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2013年2月 |
洞性徐脈性不整脈(持続する洞徐脈、洞停止、洞房ブロック)の徐脈による症状(失神、めまい、心不全等)があり、可逆性の原因・誘因がなく、ペースメーカ植込みの絶対的適応がある場合はペースメーカ植込みを行う。しかし、症状があっても絶対的適応のない場合(自覚症状が軽い場合等)や、絶対的適応でも患者の拒否や全身状態(寝たきり、悪性腫瘍の末期等)によっては以下の薬物治療を行うことがある。
(不整脈薬物治療に関するガイドライン(2009年改訂版)より)
アトロピン |
迷走神経緊張が関与した例で期待できる。緊急時は0.5㎎を静注(反復投与の場合、総投与量は3㎎まで)。半減期は約4時間(筋注で3.8時間)で安定的な効果は得にくい。抗コリン作用による副作用は避けられず、経口投与(1.5~3.0㎎/日)はほとんど行われない。 |
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交感神経作動薬 |
緊急時やペースメーカ植込みまでの橋渡しとして、イソプレナリン(イソプロテレノール)0.01~0.03μg/㎏/分を持続点滴する。わが国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)〔ALS〕では、アトロピンが無効な場合、イソプレナリンに先立ち、アドレナリン(2~10μg/分)やドパミン(2~10μg/㎏/分)を推奨している。経口投与では、イソプレナリン45~60㎎/日(分3~4)を用いる。いずれも心臓の酸素需要量を増すので、虚血性心疾患のある場合には慎重に投与する。 |
シロスタゾール |
フォスフォジエステラーゼ(PDE)Ⅲ阻害薬で、細胞内のcyclic-AMP(c-AMP)を増加させて、血管拡張や陽性変力作用、抗血小板作用を発揮する。また洞結節に対する陽性変時作用も報告されている。陽性変時作用の機序は不明だが、末梢循環改善、冠血流量増加作用を有することから、洞結節への血流増加による虚血の改善、血管平滑筋弛緩による血圧低下から引き起こされる交感神経緊張亢進、副交感神経緊張抑制効果および洞結節細胞内c-AMPの直接的電気生理作用等により洞結節自動能を亢進させ、さらに洞房伝導を促進すると推測されている。 臨床例において効果が期待できるが、催不整脈作用も報告されており、投与量や副作用の検討が必要である(保険適用外使用)。 (使用例)シロスタゾール200㎎/日 |
テオフィリン |
アデノシンはA1プリン受容体を介してアセチルコリン感受性K+チャネルを活性化して、洞結節自動能を抑制することで陰性変時作用を示し、房室伝導を抑制することで陰性変伝導作用を示す。テオフィリンは、アデノシンA1受容体遮断薬で、また、非特異的PDE阻害作用も有するため、洞結節自動能を亢進し、徐脈に対する効果が期待できる(保険適用外使用)。アトロピン無効例にも有効。消化器症状が比較的多く、投与継続が困難な例もある。 (使用例)テオフィリン200~400㎎/日 |