質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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統合失調症治療薬の非定型抗精神病薬で、糖尿病リスクが高いものは何か?(一般)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2012年10月 |
非定型抗精神病薬は、各受容体の親和性等により次のように分類される。
リスペリドン パリペリドン ぺロスピロン ブロナンセリン |
セロトニン5-HT2A受容体とドパミンD2受容体への親和性が高い (セロトニン・ドパミン遮断薬:SDA) |
オランザピン クエチアピン クロザピン |
セロトニン5-HT1A・5-HT2C受容体、ヒスタミンH1受容体、ムスカリンM3受容体、アドレナリンα1受容体等の受容体に親和性を持つ (多元受容体作用抗精神病薬:MARTA) |
アリピプラゾール |
ドパミンD2受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用、セロトニン5-HT2A受容体アゴニスト作用を併せ持つ |
糖尿病の発症機序は明確ではないが、セロトニン5-HT2C受容体、ヒスタミンH1受容体、ムスカリンM3受容体、アドレナリンα1受容体等への作用による体重増加や耐糖能・脂質代謝異常の関与が示唆されている。クロザピン、オランザピンは糖尿病リスクが高く、インスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRが高いとの報告もある。クエチアピンやリスペリドンは中等度、アリピプラゾールが最もリスクが低い。高血糖や糖尿病を回避するためには、投与前に糖尿病の既往歴や家族歴、危険因子等を確認し、投与中も食事や飲水状況、高血糖の徴候(口渇、多飲、多尿等)に注意し、体重、血糖値、血清脂質等を定期的に検査する。