公益財団法人福岡県薬剤師会

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質疑応答

質疑・応答をご覧になる方へ


福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。

回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。

県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。


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学童の近視の治療に、アトロピン点眼液を使用することがあるのか?(一般)
疾病・治療法
年月 2022年6月 

アトロピンは副交感神経のムスカリン受容体において、アセチルコリンと競合的に拮抗し、副交感神経の伝達を遮断する。点眼すると、虹彩の瞳孔括約筋を弛緩させ散瞳を、毛様体筋を弛緩させ調節麻痺を引き起こすため、アトロピン点眼液1%は、「診断または治療を目的とする散瞳と調節麻痺」の適応がある。アトロピン点眼液1%は調節麻痺剤として使用することが多く、小児における調節性内斜視や屈折性弱視において、調節麻痺下での屈折検査が必要な時に検査用点眼薬として使用されている。
近視の進行メカニズムは明らかにされていないが、近視の進行が、近見作業時に調節をかけることによって生じると考えた場合、アトロピンによるM3受容体を介した調節麻痺作用により近視進行が抑制されると考えられている。
近視は近見作業をしない状態、すなわち調節をかけない状態にすることによって進まないとの考えから、治療は低矯正眼鏡装用や調節麻痺薬の点眼が試みられている。アトロピン点眼液は、濃度依存性に学童における近視抑制効果があることが明らかになってきており、調節麻痺作用として最も強い効果を有するものがアトロピン点眼液1%である。しかし、散瞳作用は7~10日間、調節麻痺作用は3~5日持続するため、羞明や近見障害、また、発熱や顔面紅潮等の全身性の副作用や、中止時のリバウンドの問題がある。近年、国内外の臨床研究において、アトロピン点眼液0.01%が学童の近視の進行を有意に抑制したとの報告があるが、国内未承認である。

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