質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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Ⅰ型糖尿病に合併する肝病変は?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2023年4月 |
Ⅰ型糖尿病患者では、血糖コントロールの不良時に、脂肪肝とGlycogenic hepatopathy(グリコーゲン性肝障害(GH))を発症することがある。
(脂肪肝)
劇症Ⅰ型糖尿病や自己免疫性Ⅰ型糖尿病に合併する症例が報告されている。発症機序は、急激なインスリン欠乏により、末梢脂肪組織で中性脂肪(TG)が分解された結果生じる遊離脂肪酸が肝臓へ流入し、肝におけるTG合成基質が増加することや、肝臓で合成されるアポリポタンパク質Bの低下が超低密度リポタンパク質(VLDL)の分泌不足を招き、TGの肝外への放出を減少することが推察される。
(グリコーゲン性肝障害(GH))
主に血糖コントロール不良のⅠ型糖尿病に合併する。肝細胞へのグリコーゲンの過剰な蓄積によって起こる肝障害で、肝のトランスアミナーゼの上昇や肝腫大がみられる。肝臓のグリコーゲン濃度は、グリコーゲン生成と分解のバランスによって制御され、過剰なグリコーゲンは肝細胞に蓄積する。グルコースは、グルコース-6-リン酸(G6P)となり、グリコーゲンへ変わる。インスリンは、このG6Pからグリコーゲンへの変換を誘導する。Ⅰ型糖尿病では、速効型や超速効型のインスリンを使用するため、この過程が促進され、グリコーゲン産生が急激に高まると推察される。