質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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脳梗塞の特徴および治療法は?(一般)
疾病・治療法 |
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年月 | 2024年1月 |
脳梗塞は、脳内の血管(大きい血管から小さい血管まで)の一部が詰まることで発症し、次の3つに大別される。
ラクナ梗塞 | アテローム血栓性脳梗塞 | 心原性脳塞栓症 | ||
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特徴 |
脳の深部の極めて細い血管(穿通動脈)が詰まる。小さな梗塞が多発することが多く、無症状の微小梗塞(無症候性脳梗塞)も多い。高年齢者に多く、症状は比較的ゆっくり進行する。 | 脳内の比較的太い動脈や頚動脈の動脈硬化が進行し、血栓を形成して詰まらせたり、血栓が血管壁からはがれて流れていき、脳の深部の血管を詰まらせてしまうことにより生じる。前兆が一過性脳虚血発作(TIA)を生じていることが多い。 | 心臓内にできた血栓が脳内血管まで流れて閉塞させる。特に心房細動などの不整脈や心臓弁膜症などの心臓病の人に多い。意識障害などの重篤な症状が突然出現する。 | |
治 療 |
超急性期 | 発症後4.5時間以内であれば、経静脈的血栓溶解療法を行う。 アルテプラーゼ(rt-PA)(0.6mg/kg静脈内投与) |
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急性期 (発症後48時間以内) |
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外科的治療・血管内治療(カテーテル治療・血栓回収療法) rt-PAの追加して、発症6時間以内にステントリトリーバーまたは血栓吸引カテーテルを用いた機械的血栓回収療法を開始する。 |
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抗血小板療法:アスピリン(160~300mg/日)、クロピドグレル(アスピリンと併用)、シロスタゾール(200mg/日) オザグレルナトリウム(160mg/日 点滴) |
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- | 抗凝固療法(抗トロンビン薬):アルガトロバン | 抗凝固療法:未分画ヘパリン、低分子ヘパリン(保険適応外)、ヘパリノイド(保険適応外) | ||
脳保護療法:エダラボン(発症後24時間以内) | ||||
慢性期 (再発予防) |
抗血小板療法 (維持量) シロスタゾール:200mg/日 クロピドグレル:75mg/日 アスピリン:75~150mg/日 チクロピジン:200mg/日 |
抗凝固療法 ワーファリンは、非弁膜症性心房細動を伴う脳梗塞に対して、70歳未満では、PT-INR:2.0~3.0、70歳以上では、PT-INR:1.6~2.6が妥当である。直接経口抗凝固薬(ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバン)は、各薬剤の添付文書を十分に確認し、薬剤選択と用量調節を行う。 |
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降圧療法:血管病変(両側内頚動脈高度狭窄、主幹動脈閉塞)を有する場合は、血圧140/90mmHg未満、血管病変を有さない場合でラクナ梗塞、抗血栓薬内服中では、血圧130/80mmHg未満を目標とすることは妥当である。 脂質管理:スタチン系薬剤を使用する。スタチン系薬剤の効果不十分な場合は、エゼチミブやPCSK9阻害薬(エボロクマブ)を併用する。 血糖管理:血糖コントロールでの再発予防効果は確立していない。インスリン抵抗性改善薬(ピオグリタゾン)は妥当である。 |
(治療は、脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕より抜粋)