質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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グルココルチコイド誘発性(ステロイド性)骨粗鬆症の治療に使用する薬剤は何があるか?(一般)
疾病・治療法 |
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年月 | 2024年6月 |
骨粗鬆症は長期グルココルチコイド治療における最も重要な副作用の1つであり、長期グルココルチコイド治療を受けている患者の30~50%に骨折が起こるとの報告がある。日本骨代謝学会の「グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023」では、経口グルココルチコイドを3ヶ月以上使用中か使用予定の18歳以上の男女では、カルシウムの補給などの一般的指導に加えて、既存骨折、年齢、グルココルチコイド投与量、骨密度を危険因子として点数評価し、危険因子が3点以上であれば、薬物治療の開始を推奨している(下表。各危険因子の点数は、ガイドライン2014年改定版を参照 http://jsbmr.umin.jp/guide/pdf/gioguideline.pdf)。椎体骨折予防効果では、ビスホスホネート製剤に比較して遺伝子組換えテリパラチドと抗RANKL抗体デノスマブがより効果が高く、遺伝子組換えテリパラチドは特に骨折リスクが高い症例に推奨される。
分類 |
一般名 |
対象患者 | エビデンス等 | 推奨 |
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ビスホスホネート製剤(経口剤・注射剤) | アレンドロン酸ナトリウム水和物 (フォサマック、ボナロン) |
グルココルチコイド使用予定または使用中の患者。 | 腰椎・大腿骨の骨密度の増加効果や、椎体・非椎体骨折予防効果のエビデンスがある。 | 使用を推奨する。 |
イバンドロン酸ナトリウム水和物 (ボンビバ) |
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エチドロン酸二ナトリウム (ダイドロネル) |
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ミノドロン酸水和物 (ボノテオ、リカルボン) |
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リセドロン酸ナトリウム水和物 (アクトネル、ベネット) |
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活性型ビタミンD3製剤 |
アルファカルシドール |
グルココルチコイド使用予定および使用中の患者。 | 腰椎骨密度の増加効果や、椎体骨折の予防効果のエビデンスがある。 | 骨折の危険性の高い症例に使用を推奨する。 |
エルデカルシトール |
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カルシトリオール |
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副甲状腺ホルモン(PTH)製剤 | テリパラチド酢酸塩 (テリボン) |
グルココルチコイド使用予定および使用中の患者。 | 腰椎骨密度の増加効果や、椎体骨折の予防効果のエビデンスがある。 | 骨折の危険性の高い症例に使用を推奨する。 |
テリパラチド酢酸塩 (テリボン) |
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選択的エストロゲン受容体調整約(SERM) | ラロキシフェン塩酸塩 (エビスタ) |
グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のリスクのある閉経後女性。 | 椎体・非椎体骨折予防効果のエビデンスはないが、腰椎・大腿骨骨密度の増加効果を認める。 | 使用を提案(弱く推奨)する。 |
バゼドキシフェン酢酸塩 (ビビアント) |
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抗RANKL抗体 | デノスマブ(遺伝子組換え) (プラリア) |
グルココルチコイド使用予定および使用中の患者。 | 腰椎・大腿骨骨密度の増加効果や、椎体骨折予防効果のエビデンスがある。 | 使用を推奨する。 |