質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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がん治療の重粒子線治療とは?実施できる部位は?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2014年5月 |
(重粒子線)
広義には電子より重いすべての粒子線をいうが、日本の重粒子線医学においては、ヘリウム(He)より重い原子番号をもつ原子の原子核(重イオン)ビームを指す。日本でのがん治療における「重粒子線」は、「炭素線」を指す。がん治療においては、陽子の12倍の重さをもつ炭素の原子核を、光速の約70%まで加速して照射する。
(特長)
線量のピークは深部で発現し、物理的な線量集中性に優れた特性があるので、周辺正常組織への影響を抑え、ターゲットとするがん病巣に高線量を集中することができる。また、体内深部にいくほど生物化学的効果比(Relative Biological Effectiveness:RBE)が高い特性をもっているので、深部のがんに対しても有効で、治療を短期間に終えることができる〔平均照射回数は約12回(約3週間)〕。放射線の治療効果を表す指標のRBEはガンマ線の約3倍、酸素増感比(Oxygen Enhancement Ratio:OER)は約2倍の治療効果があり、かつ、組織内酸素濃度の影響を受けにくいため、腺がんや肉腫のような従来の放射線治療に抵抗性のがんや、局所進行がんへの効果も期待できる。先進医療であり保険診療と併用が可能だが、重粒子線治療については保険適応外。
(部位)
脳・頭蓋底、頭頸部(口・咽喉・鼻・副鼻腔)、肺、肝臓、乳腺、子宮、前立腺、骨や筋肉、膵臓、直腸、食道、その他の固形がん。特に腺がん系(腺がん、腺様嚢胞がん、肝細胞がん)、肉腫系腫瘍(悪性黒色腫、骨・軟部肉腫等)のがんへの有効性が確認されている。