公益財団法人福岡県薬剤師会

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質疑応答

質疑・応答をご覧になる方へ


福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。

回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。

県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。


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嗅覚障害の治療法は?(薬局)
疾病・治療法
年月 2019年9月 

嗅覚障害は病態別に、気導性嗅覚障害、嗅神経性嗅覚障害、中枢性嗅覚障害の3つに分類され、慢性副鼻腔炎、感冒、頭部外傷が三大原因である。加齢も嗅覚障害の原因となる。

原因 特徴・治療法
慢性副鼻腔炎 原因として最も多く、好酸球性副鼻腔炎では早期に嗅覚障害をきたす。薬物療法は、副腎皮質ステロイドの局所鼻噴霧投与(モメタゾン、フルニソリド、トリアムシノロン、フルチカゾン、ベクロメタゾン)、局所鼻噴霧投与で改善しない場合、経口投与(プレドニゾロン40~60mg/日、10~14日間)が有効である。
鼻炎 アレルギー性鼻炎患者の54~67%が嗅覚低下を自覚し、21~45%が嗅覚検査で有意な閾値上昇を認める。局所鼻噴霧用ステロイドおよび抗ヒスタミン薬は有効だが、エビデンスレベルの高い研究が不足している。
感冒後 発症には性差があり、40歳代以降の女性の頻度が多いが、原因は不明。国内ではステロイド点鼻および内服、ビタミン製剤、代謝改善薬、亜鉛製剤、医療用漢方製剤など多くの薬剤が使用されてきたが、エビデンスレベルの高い研究が不足している。後ろ向き検討で、当帰芍薬散の治療効果を示唆する多くの国内報告がある。近年、欧州では、嗅素を用いた嗅覚刺激療法(12週間にわたって1日2回嗅ぐ方法)が有効との報告がある。
外傷性 頭部・顔面外傷の程度にかかわらず発症する可能性があり、予後不良。薬物療法(医療用漢方製剤、亜鉛製剤、ビタミン製剤、ステロイド点鼻および内服、ATP製剤など)について症例研究で有効性が報告されているが、エビデンスレベルの高い研究は見られない。
当帰芍薬散で42%の改善が認められた報告や、加味帰脾湯で治癒が1名、軽快が5名、不変が1名だった報告がある。嗅素を用いた嗅覚刺激療法(16週間にわたって1日2回5分間嗅ぐ方法)の有効性が報告されている。
神経変性疾患 パーキンソン病、アルツハイマー病など多くの神経変性疾患で早期に嗅覚障害が出現する。早期に治療を開始することで病勢の進行の予防や治療自体の効果が得られる。
その他 中毒性、先天性、薬物性(頻度は低いが、原因薬物は多岐にわたる)。

※4種類の香り:合成のバラ、ユーカリ、レモン、クローブ

(日本鼻科学会:嗅覚障害診療ガイドライン 平成29年12月より)

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