質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の呼吸苦にモルヒネを投与したいが、方法は?(病院薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2020年5月 |
ALS診療ガイドライン(2013)では、ALS進行期で呼吸筋障害のために呼吸苦を生じている状態、または、NSAIDs等の既存治療で十分な緩和が得られない苦痛に対して、モルヒネ製剤の使用※を推奨している。
<導入方法の一例>
➀ 短時間作用型モルヒネの塩酸モルヒネ散2.5mg/回で使用開始し、効果を実感するまで2.5mgずつ増量する。
➁ 1回有効量(通常2.5~10mg)を確認し、効果がなくなったら頓用(3~4時間毎投与)で1日必要量を確認する。
③ 塩酸モルヒネ1日必要量が10mg以上になる場合は、硫酸モルヒネを1日量として投与する(長時間作用型モルヒネ:最も粒子の細かいモルペス細粒の場合、水には難溶で経管チューブが閉塞するため、経管栄養剤に溶かして1日2回分割投与)。さらに苦しいときはレスキューとして塩酸モルヒネ1回有効量を適宜使用する。
モルヒネを開始するALS患者の大多数は経管栄養のため、粒子サイズに留意し、経管から投与可能な剤形を用いる必要がある。1)モルヒネ塩酸塩錠10mgを用いた簡易懸濁法では、崩壊性、経管栄養チューブ(8Fr)の通過性、モルヒネ水中のモルヒネ安定性等で問題はなかった。2)
※モルヒネ塩酸塩・硫酸塩のALSへの適応はないが、2011年9月26日社会保険診療報酬支払基金審査情報提供事例として、「モルヒネ塩酸塩・硫酸塩をALSに処方した場合、審査上認める」とされている。
1)八本久仁子:日本緩和医療薬学雑誌 7(2),23,2014.
2)横山雄一ら:医療薬学 40(3),160,2014.