質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
質疑・応答検索
相談内容をクリックすると回答内容がご覧になれます。
※相談内容を検索する際に、検索語に英数字が含まれる場合は、半角と全角の両方での検索をお試しください。
新型コロナウイルス感染症の副腎皮質ステロイド治療のうち、デキサメタゾンだけが使用されているのはなぜか?(薬局)
疾病・治療法 |
|
年月 | 2020年10月 |
デキサメタゾンは、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第3版」において、標準的な治療法として掲載されている。ただし、妊婦・授乳婦にはデキサメタゾンは使用せず、ステロイド投与が必要な場合は、プレドニゾロンを考慮する。
英国の大規模多施設無作為化オープンラベル試験において、デキサメタゾン群は、標準治療群と比較して死亡率が減少したことが示されている。6,425人の入院患者(デキサメタゾン群2,104人、対照群4,321人)を対象に、試験登録後28日以内の死亡率(28日死亡率)を評価した。その結果、28日死亡率はデキサメタゾン群が22.9%、対照群が25.7%(RR:0.83、95%CI:0.75-0.93、p<0.001)であった。予後改善効果は、無作為化時に侵襲的人工呼吸管理を必要とした患者で最大であり、28日死亡率はデキサメタゾン群が29.3%、対照群が41.4%(RR:0.64、95%CI:0.51-0.81)であった。侵襲的人工呼吸管理は不要で酸素投与を必要とした患者では、デキサメタゾン群が23.3%、対照群が26.2%(RR:0.82、95%CI:0.72-0.94)であった。しかし、呼吸補助を要しなかった患者では、予後改善効果はみられなかった(RR:1.19、95%CI:0.91-1.55)。小規模試験では、メチルプレドニゾロンを投与された患者の臨床転帰の改善が報告されているが、デキサメタゾン以外の副腎皮質ステロイドによるCOVID-19に対する評価は確立されていない。