質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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アスピリン喘息患者への鎮痛薬の使用は?(薬局)
疾病・治療法 |
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年月 | 2021年1月 |
アスピリン喘息は、アスピリンに代表されるNSAIDs等によって発作が引き起こされる喘息である。アレルギー機序ではなく、NSAIDsによるシクロオキシゲナーゼ(COX)1阻害作用によって生じる、いわゆるイントレランス(intolerance:不耐症)で、アスピリン誘発性呼吸器疾患(AERD:Aspirin-exacerbated respiratory disease)と呼ばれる。アラキドン酸カスケードにおけるリポキシゲナーゼの代謝経路の活性化により、ロイコトリエン(LTC4、LTD4、LTE4等)が異常産生された結果、気管支収縮を招くと考えられる。AERDを誘発するNSAIDsの閾値は、常用量の1/5~1/10程度であり、AERD患者には禁忌である。AERD患者への鎮痛薬の選択は以下を参考にする。
危険度 | 主な薬剤 |
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危険(強いCOX1阻害作用を持つ薬剤) | NSAIDs全般*(アスピリン少量も含む) 注射薬、坐薬、内服の順に発現が早く重篤。 貼付薬、塗布薬、点眼薬も禁忌(サリチル酸メチルが主成分のMS冷・温シップはほぼ安全)。 |
やや危険(弱いCOX1阻害作用持つ薬剤) | アセトアミノフェン*1回500mg以上 |
ほぼ安全(COX1阻害作用は少ない薬剤、ただし重症例や不安定例で悪化あり) | ・アセトアミノフェン*1回300mg以下 (トラムセット配合錠1錠中アセトアミノフェン325mg含有) ・塩基性消炎剤(チアラミド塩酸塩*等) ・PL配合顆粒*(1g中アセトアミノフェン150mg含有) ・COX2阻害薬(エトドラク*、メロキシカム*) ・選択的COX2阻害薬(セレコキシブ*等) セレコキシブは常用量では誘発されない。ただし、重症不安定例では悪化の報告あり。 |
安全 | 葛根湯、地竜、ペンタゾシン、トラマドール、モルヒネ |
*添付文書上は、AERDに禁忌