質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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抗核抗体が上昇する薬剤には何があるか?(薬局)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2023年2月 |
抗核抗体(antinuclear antibody: ANA)とは、細胞の核成分に対する自己抗体の総称である。健常者の3~5%、70歳以上の健常者の20~40%で陽性となることがあり(男性より女性で高頻度)、特異度は低い。抗核抗体は、全身性エリテマトーデス(SLE)等の全身性結合織疾患、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性肝炎等の免疫疾患や悪性腫瘍、EBウイルス感染症等で陽性となるが、薬剤によっても誘発されることがある。薬剤性の場合、抗体価は低く、多くの場合は薬剤中止により陰性化する。
全身症状や臓器症状を呈する場合は薬剤誘発性ループス(DIL)と呼ばれる。DILの原因薬剤として報告されている薬剤の一部を表に示す。薬剤の使用開始からDILの最初の症状が発現するまでの期間は、1ヶ月~10年以上と幅がある。また、薬剤の中止後1~2週間以内には症状が改善し、自己抗体は最終的に正常化するが、消失に1~2年かかることもある。
表 DILとの関連が報告されている薬剤の例
高リスク | ヒドララジン、プロカインアミド |
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中リスク | キニジン、イソニアジド |
低リスク | サラゾスルファピリジン、メサラジン、D-ペニシラミン、ミノサイクリン、クロルプロマジン、メチルドパ、TNF-α阻害薬(アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト等)、プロピルチオウラシル |