質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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フルオロキノロン系抗菌薬で大動脈瘤や大動脈解離に注意が必要な理由は?(一般)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2024年1月 |
フルオロキノロン系抗菌薬は、アキレス腱断裂や網膜剥離などの結合組織障害を惹起するリスクが指摘されている。アキレス腱は約70%がコラーゲンでできており、その90%はⅠ型コラーゲン、10%はⅢ型コラーゲンによって構成されているが、フルオロキノロン系抗菌薬は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカンといった細胞外マトリックスを分解するマトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinases:MMPs)の発現を増強することが明らかにされている。細胞外マトリックスの分解によってコラーゲン線維の変性が進み、その結果、腱断裂や網膜剥離に至ると推測されている。大動脈壁を構成するコラーゲンも、Ⅰ型とⅢ型が主体で、大動脈壁を構成するコラーゲンの分解が亢進すると大動脈瘤における壁脆弱化が進行する。フルオロキノロン系抗菌薬による大動脈障害もMMPsのアップレギュレーションによりコラーゲン分解が亢進した結果生じるものと考えられている。