質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
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妊娠9ヶ月のお腹の張り(子宮収縮)にニフェジピンを使用することはあるか?(一般)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2024年10月 |
切迫早産は妊娠22週以降37週未満に下腹部痛(10分に1回以上の陣痛)、性器出血、破水などの症状に加えて、外側陣痛計で規則的な子宮収縮があり、内診で子宮口開大、子宮経管の展退などが認められ、早産の危険性が高いと考えられる状態と定義されている。
本邦では、切迫早産の適応を有する子宮収縮抑制薬として、β刺激薬のリトドリン塩酸塩や、硫酸マグネシウムが繁用されている。しかし、リトドリン塩酸塩では心不全や不整脈などの発現、硫酸マグネシウムでは長期投与による児の低カルシウム血症や骨減少の危険が危惧されていることから、欧米ではカルシウム拮抗薬のニフェジピンが切迫早産治療薬の1つとして使用されている(本邦では保険適応外)。
カルシウム拮抗薬は、細胞外Ca2+が細胞膜を通過して細胞内に流入するのを阻害し、子宮平滑筋の収縮を抑制する。
ニフェジピンの子宮収縮抑制作用は、リトドリン塩酸塩や硫酸マグネシウムと比べて同等かそれ以上であることが欧米で実施されたメタアナリシスで示されている。また、これら2剤と比較して母体の副作用発現頻度が有意に低く、さらに新生児合併症の頻度や新生児集中治療室への入室リスクも有意に少ないことが報告されている。
米国産婦人科学会では、初回量として30mg投与した後、4~6時間毎に10~20mg投与することを推奨しているが、日本人を対象とした切迫早産治療に対する検討はほとんど行われていないため、日本人における適正投与量の確立および有効性・安全性の証明には至っていない。