質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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ワルファリンは骨形成に影響するのか?(薬局)
副作用、中毒、妊婦・授乳婦 |
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年月 | 2020年12月 |
正常な骨形成には、非コラーゲン性の骨基質蛋白であるオステオカルシンがγ‐カルボキシラーゼにより十分なカルボキシル化を受ける必要がある。γ‐カルボキシラーゼの補酵素はビタミンKで、ビタミンKの代謝障害では、オステオカルシンのカルボキシル化が低下する。従って、ワルファリンのビタミンK拮抗作用により、骨形成に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。
しかし、ワルファリンが臨床的に問題となるほどの急速な骨量減少を生じるかは相反する報告があり、今後同一疾患群でプロスペクティブ調査による評価が必要である。
・Gageらのコホート研究1)
心房細動高齢患者(ワルファリン長期投与群(1年以上):4,461人、非ワルファリン投与群:7,587人)において、ワルファリンと骨粗鬆症関連骨折の関連を検討した海外の後ろ向きコホート研究。ワルファリン長期投与群は非投与群に比べ、骨粗鬆症関連骨折の発生リスクが高かった(オッズ比:1.25、95%CI:1.06-1.48)。
・Jamalらの報告2)
65才以上の閉経後女性6,201人において、2年間の股関節の骨量減少および3.5年間の骨折の観察研究。ワルファリン使用者と非使用者では、骨量減少の割合(1.1%対0.8%、p=0.18)と骨折(相対的危険性1.0 (CI:0.60-1.71))は同程度であり、ワルファリンの長期投与は骨密度や骨折頻度に影響しなかった。
1)Gage BF et al.:Arch Intern Med. 166(2), 241, 2006.
2)Jamal SA et al.: Ann Intern Med. 128(10), 829,1998.
(エーザイ:Warfarinの適正使用情報 改訂版<本編>より)