質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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心筋炎や心筋梗塞の診断に使用される心筋トロポニン値とは?(薬局)
検査値・検査方法 |
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年月 | 2022年7月 |
心筋トロポニンは、心筋ミオシン軽鎖と同じく、心筋の筋原線維を構成する構造蛋白で、分子量の異なる3つの蛋白トロポニンT、トロポニンI、トロポニンCが薄いフィラメント上でトロポニン複合体を形成し、心筋や骨格筋の収縮調節を担っている。トロポニンCは、心筋と骨格筋のアイソフォーム(立体構造)が同じだが、トロポニンTとトロポニンIは異なるため、心筋トロポニンTと心筋トロポニンIは心筋特異性が高く、心筋障害を反映するマーカーとして特異性が高い。トロポニンは腎排泄のため、トロポニンT、トロポニンIともに高度の腎不全でも高値となるが、筋肉注射や運動後では上昇しない。健常人では血中に検出されず、その異常値は心筋障害を意味する。
心筋トロポニンTと心筋トロポニンIはともに数%が細胞質蛋白の形で存在するため、急性心筋梗塞では、CKの上昇とほぼ同時期の発症早期3~4時間後から異常値を呈するが、最近では高感度定量測定が可能となり、発症3時間以内の超急性期でも高い診断精度が示されている。
心筋梗塞発症後のトロポニンTとトロポニンIの血中濃度の経時的変化はおよそ近似し、両者とも異常値を示す期間は遷延する(7~10日)。しかし、トロポニンTの方がより遷延するため、発症1週間ほどの心筋梗塞ではトロポニンTの方が高感度といわれている。