質疑応答
質疑・応答をご覧になる方へ
福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
回答はその時点での情報による回答であり、また紹介した事例が、すべての患者さんに当てはまるものではないことにご留意ください。
県民の皆様は、ご自身の薬について分からなくなったなどの場合には、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。相談しやすい“かかりつけ薬局”を持っておくのがよいでしょう。
質疑・応答検索
相談内容をクリックすると回答内容がご覧になれます。
※相談内容を検索する際に、検索語に英数字が含まれる場合は、半角と全角の両方での検索をお試しください。
ムクナマメ(ハッショウマメ)とは何か?パーキンソン病に効果があるのか?(一般)
食品・健康食品 |
|
年月 | 2024年2月 |
ムクナマメ(別名:ビロウドマメ Mucuna pruriens variant utilis、英名:Velvet Bean、Cowhage、Cowitch)は、インド原産のマメ科に属する蔓性の一年草で、極めて多収という特徴をもつためハッショウマメ(八升豆)とも呼ばれる。江戸時代までは各地で栽培されていたが、現在の食用利用はほとんどみられない。ムクナマメはアレロパシー(植物が放出する化学物質が他の生物に阻害的あるいは促進的な何らかの作用を及ぼす現象)効果を持つことが知られており、雑草抑制作用や線虫抑制作用、トウモロコシやサトウキビの生育促進能が確認されている。近年では、収量が多い、健康に良いなどの有用性があるとして、国内での栽培地域が拡大しつつある。
全草は食薬区分で「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」に該当する。乾燥種子は、神経伝達物質ドーパミンの前駆体であるL-DOPA(レボドパ)を多く含んでおり(実験報告では約5%含有)、アーユルヴェーダ医学では古くからパーキンソン病の治療に用いられているが、有効性に関する科学的データは限られている。
・18人のパーキンソン病(PD)患者において、単回投与によるPD症状改善や副作用発現の程度をレボドパと二重盲検法で比較したクロスオーバー試験では、ムクナマメはレボドパの場合と運動症状の改善効果が非劣勢で、ジスキネジアその他の副作用がより少なく、またON持続時間がより長かった。
・14人のPD患者における16週間のクロスオーバー試験では、継続的に用いるには悪心、不眠、パーキンソン症状の悪化など、忍容性がレボドパよりも低かった。ムクナマメを既存のレボドパ製剤と完全代替することは効果・副作用の観点から現実的ではない。
レボドパは、一度に多量に摂取すると頭痛や動悸、下痢、嘔吐、幻覚、妄想などを引き起こすため、心血管疾患、消化性潰瘍、精神疾患の患者は、ムクナマメの摂取に注意が必要である。また、ムクナマメは血糖降下作用が報告されており、糖尿病治療薬の服用者は摂取に注意する。