質疑応答
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福岡県薬会報に掲載している「情報センターに寄せられた質疑・応答の紹介」事例です。
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シークヮーサーにCYP3A4活性阻害作用はあるか?(一般)
食品・健康食品 |
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年月 | 2024年6月 |
シークヮーサー(和名:ヒラミレモン 学名:Citrus depressa Hayata)は沖縄県に自生するミカン種の柑橘類である。同じ柑橘類のグレープフルーツに含まれるbergamottinやdihydroxybergamottin等のフラノクマリン類に薬物代謝酵素CYP3A4に対する阻害活性があり、臨床での相互作用の報告がある。シークヮーサーのフラノクマリン類含有量の報告はないが、tangeretinやnobiletin等のメトキシフラボノイドをグレープフルーツより多く含有していることや、この両者がCYP3A4阻害活性を有することが報告されている。
以下に、シークヮーサーによるCYP3A4の活性阻害の有無とその程度を検証した報告1)を示す。阻害作用はグレープフルーツより弱いが、シークヮーサーにおいても医薬品との相互作用が起こる可能性が考えられる。
(シークヮーサーがヒトCYP3A4代謝に及ぼす影響)
CYP3A4阻害活性のあるグレープフルーツ果汁(GFJ)と阻害活性が認められていない温州みかん(WNS)を比較対照とし、シークヮーサー果汁(SKW)によるCYP3A4のミタゾラム1’-水酸化阻害活性をin vitroで調べた。
各柑橘果汁量に対するミダゾラム(Mid)/ミダゾラム1’-水酸化体(Mid-OH)比を算出し(表1)、柑橘量依存的増加傾向をプロットし(図1)、その傾きを基にCYP3A4の相対的な活性阻害を求めた。(表1、図1は文献1)より引用)
すでにCYP3A4阻害活性が確認されているポジティブコントロールのGFJの阻害活性を100とすると、CYP3A4阻害活性がほとんどないネガティブコントロールのWNSは1.5、SKWの阻害活性は36.4であることが確認できた。このことから、SKWはGFJの約1/3のCYP3A4阻害活性を示すことが示唆された。またその阻害活性は用量依存的であった。
図1 各柑橘果汁量に対する相対的Mid/Mid-OH比の変化と一次回帰直線 A)各柑橘果汁量に対し、果汁なしコントロールのMid/Mid-OH比を1とした時の相対Mid/Mid-OH比のプロット(平均±標準偏差、n=3) B)各柑橘のプロット変化を最小二乗法で作成した一次回帰直線と回帰式、および決定係数(R2) |
1)瑞慶覧長海ら:九州薬学会雑誌 Vol.76,61,2022.